研究課題/領域番号 |
22K08416
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
山上 淳 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (80327618)
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研究分担者 |
高橋 勇人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40398615)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 天疱瘡 / 自己免疫疾患 / 自己抗体 / 自己反応性B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、天疱瘡の原因として重要な役割を果たす自己反応性B細胞について、患者から分離された単一細胞解析の結果をもとに、臨床情報を総合して自己抗体産生機序の解明をめざす。これまでの結果から、天疱瘡の自己反応性B細胞では、B細胞の分化・活性化・増殖に関与する遺伝子の発現上昇が観察されたが、より正確な病勢評価および新たな治療標的の対象として自己反応性B細胞を検討する方法およびその臨床的意義を確立する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、天疱瘡の原因として重要な役割を果たすと考えられるデスモグレイン(Dsg)特異的B細胞について、患者から分離された単一細胞解析の結果をもとに、対応する臨床情報を統合して自己抗体産生機序を解明することである。 Dsg特異的B細胞に特徴的な遺伝子発現を検討するため、未治療の天疱瘡患者の末梢血中から分離できたDsg特異的B細胞と非特異的B細胞について、単一細胞からRNAシーケンス解析を行った。なお、単一細胞として分離されたDsg特異的B細胞のB細胞受容体(BCR)のレパトアとサブクラスを検討すると、多くの天疱瘡患者では上位3つのVH遺伝子がBCRのほぼ50%を占めており、Dsg特異的B細胞のVH遺伝子の使用には偏りがあることが示された。同一の天疱瘡患者において、同一のBCRを持つDsg特異的B細胞が複数の単一細胞として分離されることはあったが、異なる天疱瘡患者から単離されたDsg特異的B細胞の間で同一のBCRが共有されている事象は観察されなかった。 発現が検出された10518個の遺伝子のうち、Dsg特異的B細胞と非特異的B細胞との比較において、253個が有意な発現変動遺伝子(differentially expressed genes; DEG)として同定された。B細胞やリンパ球の機能と強い関連が示唆されるDEGを選択すると、炎症(S100A8/A9、C-C motif chemokine ligand 3 [CCL3])、分化(tissue inhibitor matrix metalloproteinase 1 [TIMP-1]、basic leucine zipper ATF-like transcription factor [BATF]、CD9)、T細胞との相互作用(CD137 ligand [CD137L]) に関連する遺伝子が抽出されてきた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上記の通り、天疱瘡患者の末梢血リンパ球からDsg特異的B細胞を単一細胞として分離するとともに、単一細胞としてRNAシーケンス解析を行い、非特異的B細胞との違いが見えてきた。複数の天疱瘡患者から、Dsg特異的B細胞と非特異的B細胞のRNAシーケンスの解析結果が得られており、またDsg以外の外来抗原に特異的なB細胞の解析にも着手できているため、研究計画の進捗は概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究で、天疱瘡患者から単一細胞としてDsg特異的B細胞を解析する手法が確立されてきた。この単一細胞RNAシーケンス解析の技術を応用して、治療前後の天疱瘡患者における自己反応性B細胞の比較、外来抗原に特異的なB細胞との比較などを進めて、自己反応性B細胞の特徴、自己抗体の産生機序の解明をめざす。また、検出された自己抗体・自己反応性B細胞のクローンと、臨床的な病勢(活動期と寛解期との比較など)や予後因子(治療への反応性など)との関係の検討を進めて、研究成果を患者に還元することを心がけていきたい。
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