研究課題/領域番号 |
22K08425
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
吉崎 歩 東京大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授 (40530415)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | B細胞 / 強皮症 / サイトカイン / タンパク質微量分析 / 全身性強皮症 / 医工連携研究 / 超微量タンパク質分析 / 自己抗原反応性B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究ではSScにおける自己抗原反応性B細胞の機能解析を行う。本研究ではマイクロチップ上に形成されたマイクロ空間を用い、自己抗原反応性B細胞の解析を行う。これにより、自己抗原反応性B細胞が血管内皮細胞や線維芽細胞およびT細胞などの免疫担当細胞と相互作用した際のサイトカイン産生能を検討することが可能となり、これまでブラックボックスであったSScにおける自己抗原反応性B細胞の機能が明らかとなることが期待される。本研究で得られる新しい知見は他の自己免疫疾患にも応用可能であることが予想され、自己免疫疾患全体における新たな病因論を創造出来る可能性がある。以て、新たな治療法の開発へと発展させる。
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研究実績の概要 |
全身性強皮症(Systemic sclerosis; SSc)は皮膚科領域における代表的な全身性自己免疫疾患である。本邦における指定難病であり、有効な治療法は未だに見出されていない。SScの病因は不明であるが、病態の進展には自己免疫が大きな役割を果たすことが示唆されている。研究代表者らはこれまで、SScの病態形成には免疫系の主要構成因子であるB細胞が重要な役割を果たしていることを多数示してきた。さらに医師主導治験を自ら実施し、リツキシマブによるB細胞除去療法がSScに有効であることを示した。一方で、B細胞は複数の亜集団から構成されており、リツキシマブによる全般的なB細胞除去は、感染症をはじめとした有害事象を発生し得る。従って、よりターゲットを明確とした治療法開発が必要とされている。SScにおいて、自己抗体の出現は大きな特徴であり、自己抗体産生の担い手である自己抗原反応性B細胞は、病態に重要な役割を果たしていることが想定されている。しかし、自己抗原反応性B細胞は、生体内に僅かしか存在しておらず、その直接的な病原性についてはこれまでに解析の手立てが確立していなかった。そこで我々は医工連携研究によって少数細胞のタンパク質レベルでの解析システムを開発した。今回の研究では、このシステムを用い、SScにおける自己抗原反応性B細胞の役割と特徴を解明し、広く自己免疫疾患における自己抗原反応性B細胞の役割の理解を深め、ターゲットを明確にした治療法開発へとつなげることを目指す。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究では、SSc患者におけるtopoisomerase (topo) I特異的B細胞の病原性を明らかにする。具体的にはex vivoで毛細血管環境を再現し、血管内皮細胞にtopo I特的B細胞が接触した際の機能を検討する。さらに、SScモデルマウスであるtopo I誘導SScモデルから得られたtopo I特異的B細胞を野生型マウスへ養子移入し、その病原性について確認する。毛細血管環境の再現と、SSc患者から少数しか得られないtopo I特異的B細胞の解析には、我々が開発したマイクロ空間を用いた解析システムを用いる。 今年度は、マイクロデバイスによるB細胞機能解析を実施した。現在用いられている一般的な手法では、サイトカイン産生能を含めたB細胞の機能を検討するためには、104-6個の細胞数が必要となる。これは、サイトカイン濃度測定に用いられるELISA法などでは検出のために最低でも0.1 pmol/L以上のタンパク質濃度が必要とされ、B細胞から産生されるサイトカインは微量であるためである。そもそも現在一般的に用いられているマイクロチューブなどの反応容器は、細胞に対してあまりに巨大であり、細胞を溶解した際の希釈率は10-8倍となる。さらにサイトカイン分子をヒトの大きさに例えると、検体の表層にあるサイトカイン分子が、ELISAプレート底面の捕捉抗体までにたどり着く道のりは、地球から月までの距離に等しい。さらに捕捉抗体に結合したサイトカイン分子を検出するのは、地球上に存在する個人を人工衛星から捜すようなものであるため、高い検出器が必要となる。これらに加え、topo I特異的B細胞は患者体内にごく僅かしか存在しないため、従来の測定方法では解析できない。我々は同時に開発したマイクロチップを用いた検討を実施し、topo I特異的B細胞のサイトカイン測定を実現した。
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今後の研究の推進方策 |
今後はSSc患者から得たtopo I特異的B細胞から産生されるサイトカインと、臨床情報との関連を検討していく予定である。さらに、マイクロチップに形成された直径100 umの流路で血管内皮細胞を培養し、topo I特異的B細胞と血管内皮細胞の細胞間相互作用を検討する。対応抗原は不明ながらも、抗topo I抗体は血管内皮細胞の表面分子に結合することが知られており、topo I特異的B細胞はBCRを介して血管内皮細胞から刺激を受けると考えられる。さらにマイクロ流路には栄養の供給のため培養液が流れており、これは生体における血流に相当する。血流によって生じるシェアストレスは血管内皮細胞のタンパク分子発現を変化させるため、B細胞と血管内皮細胞の新しい相互作用を明らかにできる可能性がある。さらに、マイクロELISAによるサイトカイン、抗原結合能解析を実施する予定である。B細胞あるいは血管内皮細胞から培養液中に放出された微量のサイトカインを、マイクロ空間に展開した捕捉抗体結合ビーズを用いて解析する。検出には高感度な熱レンズ顕微鏡検出系を用いているため、従来法よりも10^2-4倍の感度で解析が可能である。 さらにtopo I特異的B細胞が産生する抗topo I抗体や、その他の自己抗体の血管内皮細胞に対する結合能をマイクロチップ上で細胞ELISAを行うことで検討する。加えて、DNAマイクロアレイを用いた解析も実施予定である。共培養後の細胞をマイクロチップから取り出し、DNAマイクロアレイを行い、発現する遺伝子の解析を行う。これらの結果をもって独自に開発したSScモデルマウスの検討を行い、病態解明および新規治療法の開発を行う予定である。
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