研究課題/領域番号 |
22K08426
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
長谷川 稔 福井大学, 学術研究院医学系部門, 教授 (50283130)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 全身性強皮症 / 線維化 / 皮膚 / 内皮間葉移行 / 血管障害 / 治療薬 / 強皮症 / 治療 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、研究代表者らが行ってきた上皮間葉移行を抑制する薬剤のスクリーニング法を改変し、内皮間葉移行を抑制する化合物を多数の化合物の中から網羅的にスクリーニングし、線維化のみならず血管障害にも有用な強皮症治療薬の候補を絞り込む。そのうえで、候補薬剤の線維芽細胞や血管内皮細胞に対する作用を培養細胞系で検証する。さらに、2種類の強皮症マウスモデルに候補薬剤を投与し、線維化や血管障害に対する効果、副作用、作用機序を明らかにする。中でも有望な治療薬については、臨床試験への発展に向けて至適投与量や安全性を明確にし、実際の全身性強皮症、さらには他の線維化疾患や血管障害の新規治療へと将来的に発展させる。
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研究実績の概要 |
全身性強皮症の臨床的な病態の特徴は、毛細血管などの血管の減少を伴う血管障害と線維化である。この病態を説明することが可能な考え方のひとつに、内皮間葉移行の亢進があげられている。しかしながら、内皮間葉移行の実験系は、細胞が途中でへたりやすく、十分に確立されていない。 我々はこれまでに、上皮間葉移行を阻害する薬剤をスクリーニングし、既存の化合物や市販薬の中から、LG283やエパルレスタットを候補薬として見出してきた。培養HUVEC細胞(ヒト臍帯静脈内細胞)にTGF-betaとTNF-αを添加すると、細胞がややへたってしまう点が問題ではあるが、内皮細胞がやや間葉系細胞に似た形態に変化することを確認した。また、CD31などの内皮細胞マーカーの発現が低下し、alpha-SMAやSNAIL1/2などの間葉系細胞マーカーの発現が亢進していた。 この実験系に、上記のLG283やエパルレスタットを添加すると、この変化が抑制された。このことから、上皮間葉系移行を阻害する薬剤は、内皮間葉系移行をも阻害する可能性がある。実際に、ブレオマイシンを連日皮内注射して皮膚硬化を誘導したマウスの皮膚では、透明化した皮膚組織の観察で血管の減少が皮膚の線維化に先駆けて、あるいは並行して生じていることが確認された。しかし、LG283やエパルレスタットを内服させたところ、皮膚病変部の線維化は有意に軽減し、血管減少も有意に抑制された。このことから、上皮間葉移行と内皮間葉移行には共通した部分が多いと考えられた。また、強皮症では内皮間葉移行が亢進しているために、血管減少と線維化が同時に進行するものと考えられ、この過程を抑制する薬剤が治療薬として期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
内皮間葉移行の細胞実験系において、血管内皮細胞にサイトカインを添加して間葉移行を促した際に、細胞の活きが悪くなってしまう点が十分に改善できていない。このため、内皮間葉移行を抑制する薬剤のスクリーニングが進んでいない状況である。
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今後の研究の推進方策 |
内皮間葉移行の細胞実験系は、様々な薬剤の効果をスクリーニングするには、まだ十分安定したものではない。このため、その改善策として、培養液、添加サイトカイン、培養時間、使用する細胞などの条件を変更するなどし、目標達成に向けて更なる検討を進めていく予定である。
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