研究課題/領域番号 |
22K08435
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分53050:皮膚科学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
酒井 貴史 大分大学, 医学部, 助教 (20624290)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | アトピー性皮膚炎 / 骨折 / RANKL |
研究開始時の研究の概要 |
近年、アトピー性皮膚炎(AD)患者における骨折リスクが明らかとなった。その機序は分かっていないが、研究代表者が過去に実施した臨床研究によって、ADの炎症、骨異常にreceptor activator of nuclear factor kappa-Β(RANKL)が関与している可能性が示された。本研究では「RANKLはADの増悪因子か?」、「RANKL阻害はADの皮膚症状、骨異常を改善するか?」、「血清RANKL濃度はADにおける骨折リスク予測バイオマーカーになり得るか?」という仮説を検証する。同検証によりADにおけるRANKLの病態意義が明らかとなり、新しい治療、予防戦略を構築が可能となる。
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研究実績の概要 |
近年、アトピー性皮膚炎(atopic dermatitis, AD)患者において骨粗鬆症性骨折のリスクが上昇することが明らかとなった。しかしながら、その病態機序は不明である。令和5年度、本研究課題において、以下のin silico手法によってAD患者における骨異常の病態探索を行った。さらにADと骨粗鬆症性骨折に関する最新の知見を収集するとともに総説を作成した。
方法:(1)Gene Expression Omnibus(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/geo/)に登録されているトランスクリプトームデータから、健常者およびヒトAD患者の血液(全血)と皮膚(表皮、真皮、皮下組織)の公開済みトランスクリプトームデータを取得し、データの正規化を行った。その後、健常者-AD患者間で、血液と皮膚のトランスクリプトームデータの比較を行い、有意な差があった分子群から「骨」と関連のある分子を抽出した。(2)次にSTRING(https://string-db.org/)を利用し、健常者-AD患者間で有意な差を認めた骨関連分子が、ADと骨粗鬆症の病態にどのように関連しているのかを調査した。
結果:(1)トランスクリプトームデータの比較:AD患者では健常人に比べて血液で3個の骨関連分子のmRNA発現が上昇し、2個が低下していた。皮膚では2個の骨関連分子のmRNA発現が上昇し、19個が低下していた。(2)STRINGを利用した分子間ネットワーク解析:AD患者の血液でmRNA発現が変動していた骨関連分子のうち、2分子: insulin-like growth factor-1(IGF1)、fibroblast growth factor receptor 2(FGFR2)において、ADと骨粗鬆症、双方の病態との関連が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度の成果を元に、アトピー性皮膚炎患者に生じた骨異常の分子病態をさらに細かく検証することが出来た。特に、実際のヒトのアトピー性皮膚炎患者のデータベース解析が実施できたことは、本研究課題において意義が大きく、おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
令和4、5年度に得られた成果を元に、細胞培養実験、動物実験でさらなる分子病態機序の解明を目指す。具体的に、表皮角化細胞、樹状細胞、マウス皮膚におけるRANKLの影響を調査する。
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