研究課題/領域番号 |
22K08456
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
高橋 尚史 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 助教 (70711000)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
マクロファージ(Mφ)は末梢単球から分化して全身組織に分布すると言われてきた。ところが最近、成体組織には単球由来Mφに加え、胎生期に発生したいわゆる原始Mφも多く残っていることが分かってきた。この発見は、原始Mφが長期に増殖し続けている可能性も示唆する。しかし、原始Mφの実態や単球由来Mφとの機能的相違などの多くは未解明である。そこで本研究では、マウス胎生期由来(卵黄嚢と胎児肝)について、増殖能力やそれを規定するメカニズムなどを同定する。さらにこの原始Mφが成人ヒト組織中にも存在することを実証する。以上により、起源と増殖能が異なるMφが組織の中で混在することの意義の解明を目指す。
|
研究実績の概要 |
成体の多くの組織には、骨髄の幹細胞から分化した単球由来マクロファージに加え、卵黄嚢や胎児肝由来マクロファージが存在する事実が明らかとなり、その意義に注目が集まっているが未だ不明の部分が多い。これら異なる由来を持つマウスマクロファージをex vivoで増幅培養し、それらの特性を比較解析している。 本年度も引き続きこの自己増殖型マクロファージの特性の比較解析を行い、胎児肝由来マクロファージ(FL)のLPS反応性は卵黄嚢由来(YS)や骨髄由来(BM)のものより高いことを見出した。これはマウス胎児初代細胞を用いた解析でも類似の報告(Lakhdari, Sci Rep, 2019)があり、改めて胎児期由来マクロファージモデルとしての特性と妥当性を示した。 YSとFLマクロファージはM-CSF非存在下の培養で、BMと比べてアポトーシス誘導が起こりにくく、特にYSは他の2種類と比べてM-CSFやIL-34の自己分泌レベルも低いことを示唆する結果も得た。さらにYSとFLマクロファージはスタウロスポリンなどアポトーシス誘導薬剤を加えても細胞死誘導がされにくいことがわかった。前年度のRNA-seqおよび今年度新たに追加したATAC-seqのデータからも、YSとFLではBMと比較してアポトーシス関連遺伝子転写レベルが低いという結果を得た。つまり、胎児期由来マクロファージは増殖能や生存能が骨髄由来マクロファージよりも高く、M-CSF低依存性やアポトーシス誘導のされにくさがそれに関連していることが示唆された。 また、ヒト腹水マクロファージについては、胎児期由来と推定される分画(HLA-DRhighCCR2low)と骨髄由来分画(HLA-DRlowCCR2high)をソーティング後、RNA-seqによる遺伝子発現の差を解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の課題の一つであるマウス胎児期由来マクロファージ解析において、アポトーシス関連の特性に関する一定の成果を得られており、順調に進行している。また、もう一つの課題のヒト腹水マクロファージの解析にも着手できている。
|
今後の研究の推進方策 |
マウスマクロファージについては、引き続き増殖関連遺伝子の特性解析を進めていくとともに、マウスへのin vivo移植で定着・増殖が見られるかを評価する。また、ヒト由来腹水マクロファージについてもRNA-seqの解析を進め、骨髄由来・胎児期由来の2つの分画の特性の違いについて比較解析を進めていく予定である。 これらの成果を次年度に論文としてまとめることを目指す。
|