研究課題/領域番号 |
22K08458
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
仲地 佐和子 琉球大学, 病院, 講師 (40626040)
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研究分担者 |
益崎 裕章 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00291899)
岡本 士毅 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40342919)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | SGLT2 / 成人T 細胞白血病リンパ腫 / イムノトキシン / 二重特異性合成抗体 / ドラッグデリバリー / CADM1 / ミトコンドリア / 成人T細胞白血病/リンパ腫 |
研究開始時の研究の概要 |
ATLはHTLV-1が起因する難治性白血病で化学療法に抵抗性を示すため革新的な治療法開発が待望されている。がん細胞はグルコース要求性が高く、糖代謝が解糖系にシフトしていることが知られている。研究代表者はATL細胞において糖輸送担体、SGLT2の発現が顕著に増加し、がん細胞の増殖に必須であることを独自に見出した。そこで急性期ATL細胞に高発現するCADM1とSGLT2を同時に認識する二重特異性合成抗体に毒素を結合させたセカンドイムノトキシンを連結したユニークなドラッグデリバリーシステムを創出し、高悪性度ATL細胞に特異的に毒素を取り込ませて死滅させる新規治療法の確立に向けた基盤的研究を推進する。
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研究実績の概要 |
急性期成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)患者由来細胞およびATL細胞株において高発現するSodium-Glucose Cotransporter 2 (SGLT2)および細胞接着因子 cell adhesion molecule 1(CADM1)の2種類を同時に認識する合成二重特異性抗体と標的細胞のリボソームを不活性化する植物酵素サポリンを結合した二次抗体をATL患者由来細胞およびATL細胞株培養系に添加してその有効性を検証する。 本年度は二重特異性抗体の作成を計画していたが既報よりSGLT2の発現が細胞表面以外にミトコンドリア内に発現している可能性があったため、SGLT2阻害剤のミトコンドリアへの影響を確認した。ミトコンドリア機能解析、SGLT2遺伝子干渉実験の結果より、細胞表面に発現しているSGLT2へも作用するがSGLT2阻害剤の種類によってミトコンドリアへの影響が異なる可能性が示唆された。SGLT2にmCherryをfusionした融合蛋白をHepG2をターゲットに強制発現させ、同様にミトコンドリアに局在するCOX8にEGFPを融合させた融合蛋白をダブルトランスフェクションすることによって共局在を検証した。細胞表面のSGLT2、CADM1に同時に認識する二重特異性合成抗体に蛋白質性毒素を結合させたセカンドイムノトキシンを連結したドラッグデリバリーシステムを確立するため、SGLT2の発現部位の再確認が必須であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は二重特異性抗体の作成を計画していたが既報(Nakano D, et al. PLos ONE, 2020, 15:e0232283)よりSGLT2の発現が細胞表面以外にミトコンドリア内に発現している可能性があったため、SGLT2阻害剤のミトコンドリアへの影響を確認した。ミトコンドリア機能解析、SGLT2遺伝子干渉実験の結果より、細胞表面に発現しているSGLT2へも作用するがSGLT2阻害剤の種類によってミトコンドリアへの影響が異なる可能性が示唆された。 細胞表面のSGLT2、CADM1に同時に認識する二重特異性合成抗体に蛋白質性毒素を結合させたセカンドイムノトキシンを連結したドラッグデリバリーシステムを確立するため、SGLT2の発現部位やミトコンドリアへの影響の検証が必須であった。SGLT2にmCherryをfusionした融合蛋白をHepG2をターゲットに強制発現させ、同様にミトコンドリアに局在するCOX8にEGFPを融合させた融合蛋白をdouble transfectionすることによって共局在を検証している。しかし、タイムラプスを用いて解析したところdouble transfectionさせたEGFPはミトコンドリアに発現していることが確認できたがmCherryを発現したSGLT2はミトコンドリアではなく、ゴルジ体に多く発現しているように見えた。ミトコンドリア以外の細胞内小器官に局在していることが確認できた。SGLT2と同等に蛍光タンパク質の長さが大きく、正常なタンパク質のtranslocationが起きてなかった可能性を考え、現在、tagを短くしたFlag-tagに変更した融合蛋白の検証を継続している。 次年度以降、SGLT2発現部位を確認後、二重特異性抗体の作成、ATL細胞に対する抗腫瘍効果について検証と解析を行う。
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今後の研究の推進方策 |
急性期ATL患者由来細胞およびATL細胞株において高発現するSGLT2およびCADM1の2種類を同時に認識する合成二重特異性抗体と標的細胞のリボソームを不活性化する植物酵素サポリンを結合した二次抗体をATL患者由来細胞およびATL細胞株培養系に添加してその有効性を検証し、研究成果を原著英文論文として公表することを目指す。 二重特異性抗体を作成し、ATL患者細胞、ATL細胞株に対するin vitroの抗腫瘍効果、ATL細胞移植SCIDマウスを用いたin vivoでの抗腫瘍効果を検証し、医療応用に向けた基礎医学的基盤を構築する。
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