研究課題/領域番号 |
22K08477
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
|
研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
加藤 裕子 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (00470336)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 造血幹細胞ニッチの減少 / レプチンレセプター陽性間葉系幹細胞 / 血管内皮細胞 / 造血幹細胞 / 骨髄ニッチ |
研究開始時の研究の概要 |
造血器腫瘍において、PHD finger protein 6 (PHF6)遺伝子の変異が報告されている。PHF6遺伝子を全身で欠損させたマウスでは白血病を発症する。しかし、血液細胞でのみPHF6遺伝子を欠損させたマウスでは、造血器腫瘍の発症は認められない。血液細胞は骨髄で造血幹細胞から作られるが、その過程において骨髄環境と血液細胞は相互に影響し合う。以上の所見は骨髄環境でのPhf6の欠損が白血病の発症に寄与する可能性を示唆する。そこで我々は、骨髄を構成する主細胞である間質細胞においてのみPHF6遺伝子を欠損するマウスを作製・解析し、骨髄間質細胞を介したPHF6の造血幹細胞制御を明らかにしたい。
|
研究実績の概要 |
本研究では、Phf6の骨髄微小環境における役割を明らかにするため、骨髄間質細胞で広範にCre recombinase を発現するPrx1-Creを用いたコンディショナルノックアウトマウスPrx1-Cre;Phf6f/yマウスを作製した。 Prx1-Cre;Phf6f/yマウスは正常に生まれた。14ヶ月齢における体重測定の結果、ノックアウトマウスはコントロールマウスと比較して増加傾向にあるものの、有意差は認められなかった。6ヶ月齢および14ヶ月齢においてそれぞれ、末梢血液細胞数の計測を行なった結果、白血球、赤血球、ヘマトクリット、血小板について、コントロールマウスとコンディショナルノックアウトマウス間に有意差はなかった。14カ月齢のマウスにおいて、骨髄切片のH E染色およびマイクロCTによる骨構造解析を行なったが、骨梁や脂肪量に大きな差異は認められなかった。骨髄細胞中の造血幹細胞ニッチを構成するLepR+MSC(CD45-Ter119- Sca1-CD31-LepR+)細胞数についてフローサイトメトリーにより解析したところ、ノックアウトマウスではコントロールマウスと比較して有意に減少していることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Prx1-Cre;Phf6f/yマウスについては、繁殖を行い解析に十分な匹数が得られたので解析を開始している。造血支持能細胞であるLepR+MSCの絶対数が有意に減少することが示されたので、今後の研究の方向性が定まってきた。
|
今後の研究の推進方策 |
Prx1-Cre;Phf6f/yマウスで示された骨髄中のLepR+MSCの減少について、再現性があることを確認する。再現性を確認できた場合には、その詳細な分子機構について解析する。LepR+MSC をセルソーターにより分取し、in vitro での自己複製能と分化多能性を検 証する。 Prx1-Cre;Phf6f/yマウスに抗がん剤投与を行い強制的に骨髄破壊後、骨髄中の間質細胞および血液細胞を再構築できるかを検討する。 Prx1-Cre;Phip f/yマウスの骨髄中における造血幹細胞、前駆細胞、成熟細胞についてフローサイトメトリーを用いて詳細に解析を行い、骨髄微小環境におけるPhf6欠損が血液細胞の分化および増殖に与える影響について検証する。Prx1-Cre;Phf6 f/yをレシピエントとして正常骨髄細胞や HSC の移植実験を行い、 LepR-Cre;Phf6 f/y の造血支持能力を検討する。
|