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化学療法後の白血病再発における骨髄微小環境の解析

研究課題

研究課題/領域番号 22K08478
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
研究機関九州大学

研究代表者

八尾 尚幸  九州大学, 医学研究院, 助教 (90835282)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
キーワード白血病 / 白血病幹細胞 / 白血病ニッチ / 骨髄微小環境
研究開始時の研究の概要

急性白血病が再発する原因の一つとして、化学療法時の白血病幹細胞の残存と再増殖であることが知られている。また、骨髄には血球細胞を制御するニッチと呼ばれる特殊な微小環境が存在していることから、白血病幹細胞にも独自のニッチが存在し、化学療法時の白血病幹細胞の抗癌剤抵抗性の獲得や化学療法後の再増殖に関与しているものと考えられる。本研究では白血病ニッチの構成細胞を同定し、それらの細胞による白血病幹細胞の抗癌剤耐性獲得のメカニズムを解明し、メカニズムに基づいた白血病ニッチを標的とした治療法の開発を目指す。

研究実績の概要

成人急性白血病は抗がん薬に対する感受性が高く、寛解導入率が高いにもかかわらず、寛解導入後の再発が多く、白血病患者の長期生存率は低率に留まっている。白血病幹細胞(leukemic stem cell; LSC)とLSCを支持する周囲の微小環境(白血病ニッチ)の存在が白血病再発の原因の一つであると考えられている。申請者は、抗がん薬暴露による白血病ニッチの変化と、変容した白血病ニッチとLSCの相互関係を明らかにすることで、化学療法後の微小残存病変や白血病細胞の再増殖の分子メカニズムを解明できると考えている。申請者は、白血病モデルマウスに抗がん剤を投与し、投与直後の白血病細胞の残存とその後の白血病細胞の再増殖を確認し、モデルマウスで白血病の再発を再現することができた。白血病細胞に分泌型蛍光タンパク質を発現させ、白血病細胞周囲の細胞が蛍光タンパク質を取り込むことで、白血病ニッチ構成細胞を同定するNeighbor labeling法 (Ombrato L. et al. Nat Protoc. 2021) を用いて実験を行う。分泌型蛍光タンパク質を発現する白血病細胞を移植して白血病モデルマウスを作製し、同マウスを用いて白血病ニッチ構成細胞を同定する。抗がん薬投与前後の白血病ニッチ構成細胞を観察することで、LSCの維持や再増殖における白血病ニッチ構成細胞の果たす役割について明らかにする。さらに、白血病ニッチ構成細胞が発現するLSC維持や再増殖に寄与する責任分子を同定し、責任分子を標的とした再発難治性白血病治療法の開発を目指す。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

蛍光タンパクmCherry遺伝子にシグナルペプチド (signal peptide; SP) 遺伝子とHIVウイルス由来の膜透過性ペプチド (trans-activator of transcription protein; TAT) 遺伝子を融合させた分泌型mCherry遺伝子 (SP-TAT-mCherry) を搭載したレトロウイルスベクターを作製した。レトロウイルスベクターを用いてレトロウイルスを作製し、レトロウイルスにより白血病細胞株C1498にSP-TAT-mCherry遺伝子を導入した。遺伝子導入したC1498細胞でSP-TAT-mCherryタンパクが分泌されていることを蛍光顕微鏡で確認した。その後、SP-TAT-mCherry遺伝子を導入したC1498細胞をマウスに移植し、白血病モデルマウスを作製した。また、同様の手法によりMLL-AF9融合遺伝子を導入して作製した白血病細胞 (MLL-AF9白血病細胞) にもSP-TAT-mCherry遺伝子を導入し、同細胞をマウスに移植して白血病モデルマウスを作製した。マウスに移植したC1498細胞はマウス骨髄に生着し、C1498細胞が分泌したSP-TAT-mCherryタンパクを取り込んだC1498細胞周囲の細胞をフローサイトメトリーで確認できた。また、MLL-AF9白血病モデルマウス骨髄でも、周囲の細胞によるSP-TAT-mCherryタンパクの取り込みをフローサイトメトリーで確認できた。

今後の研究の推進方策

白血病モデルマウス骨髄からSP-TAT-mCherryタンパクを取り込んだ細胞をセルソーターで単離し、同細胞のシングルセルRNAシーケンス解析を行い、白血病ニッチ構成細胞の同定を行う。次に白血病モデルマウスに抗がん薬を投与し、抗がん薬暴露後に残存するSP-TAT-mCherryタンパクを取り込んだ細胞をセルソーターで単離し、同様にシングルセルRNAシーケンス解析を行い、細胞の同定を行う。抗がん薬投与前後の白血病ニッチ構成細胞を比較し、白血病再発に寄与する白血病ニッチ構成細胞を同定する。同定した白血病ニッチ構成細胞が既知の細胞表面マーカーで識別できれば、候補となる白血病ニッチ構成細胞でCreを発現するマウスとRosa26-DTR-tdTomatoマウスとを交配させ、ニッチ構成細胞を標識するマウスを作製する。次いで、抗がん薬投与後の残存LSCと白血病ニッチ構成細胞の位置関係や、白血病細胞再増殖期の白血病ニッチ構成細胞の変化についてイメージングで解析する。さらに、同マウスにジフテリアトキシンを投与して白血病ニッチ構成細胞を欠失させ、白血病ニッチ構成細胞の欠失により起こる抗がん薬投与後の変化を観察し、白血病ニッチ構成細胞の化学療法後のLSCに果たす役割について解析を行う。さらに白血病ニッチ構成細胞の抗がん薬投与前後の遺伝子発現変化から白血病細胞の生存と増殖に寄与する責任分子を同定する。遺伝子改変マウスを用いた実験系で、同定された責任分子の役割を検証し、再発抑制効果を有すると考えられる治療標的の発見を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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