研究課題/領域番号 |
22K08479
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 光次 九州大学, 医学研究院, 准教授 (20571764)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 末梢性T細胞リンパ腫 / 微小環境 / ゲノム変異 |
研究開始時の研究の概要 |
PTCL-NOSは、5年生存率は30%前後と極めて予後不良な疾患である。申請者らは先行研究を通じ、腫瘍細胞の細胞起源ではなく、微小環境中の免疫細胞の構成によって、その予後が大きく層別化されることを見出した。この知見とゲノム変異を組み合わせることで、PTCL-NOSにおける、①ゲノム変異と微小環境遺伝子発現変化を加味したより精確な予後層別化モデルを確立すること ②ゲノム変異で分類される集団が特徴的な微小環境をどのように形成しているのか、そのクロストークを明らかにすること ③治療標的となるようなシグナル伝達経路や分子を同定し、有効性のある新規治療法の開発を行うことを、本研究課題の目標とする。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、PTCL-NOSのゲノム変異で分類される集団が、どのようなクロストークを介して、PTCL-NOSの悪性度と相関する特徴的な腫瘍周囲の微小環境を形成するのか、そのメカニズムを明らかにすることである。 ①PTCL-NOSのゲノム変異と微小環境遺伝子発現変化の相関を検討: PTCL-NOS 検体を用いて、nCounterによるRNA発現解析を行った。同時にゲノム変異解析をすすめ、ゲノム変異と微小環境遺伝子発現の相関を検討し、新たな層別化スコアを作成した。PTCL-NOSの予後を規定する因子として、先行研究と同様に、微小環境中のB細胞・樹状細胞・マクロファージなどのマーカーとなる遺伝子発現プロファイルで予後が送別化され、特にB細胞・樹状細胞・マクロファージのいずれの遺伝子発現パターンにも相当しない予後不良群において、TP53変異が集積していることが判明した。また、B細胞の遺伝子発現群においては、TET2などのエピゲノムに関係する遺伝子変異を認めた。 ②PTCL-NOSの予後を規定するゲノム変異および微小環境の細胞亜集団を同定:先行研究と同様に極めて予後不良なnon-BD群中、マクロファージsignatureを持つ集団と周囲環境のsignatureが非常に乏しい集団(TP53変異が集積)に解析の焦点をあて、ゲノム異常と微小環境の関係を検証した。現在、微小環境の細胞が、腫瘍細胞とどのような位置関係で組織中に存在するのか、空間分解能が高いCODEXを用いて組織上のシングルセル解析を進めており、腫瘍細胞や微小環境細胞がどのように関わり合っているのかを解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画目標は、①PTCL-NOSのゲノム変異と微小環境遺伝子発現変化の相関を検討することであり、研究実績の概要で記載した通り、ゲノム変異と微小環境遺伝子発現の相関を検討した上で新たな層別化スコアを作成できた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降に以下の計画を予定している。 ② PTCL-NOSの予後を規定するゲノム変異および微小環境の細胞亜集団を同定 先行研究と同様に極めて予後不良なnon-BD群中、マクロファージsignatureを持つ集団と周囲環境のsignatureが非常に乏しい集団(TP53変異が集積)に解析の焦点をあて、ゲノム異常と微小環境の関係を検証する。現在、微小環境の細胞が、腫瘍細胞とどのような位置関係で組織中に存在するのか、空間分解能が高いCODEXを用いて組織上のシングルセル解析を進めており、腫瘍細胞や微小環境細胞がどのように関わり合っているのかを解析する。 ③ PTCL-NOSのゲノム変異が、特徴的な微小環境を形成するメカニズムを明らかにする 腫瘍組織と周囲細胞の3次元培養の構築や、ヒトの免疫環境を再構築したマウスへ異種移植することで周囲環境を再現したPTCLのモデルを樹立し、新規薬剤のスクリーニングを行う。
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