研究課題/領域番号 |
22K08481
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
安東 恒史 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (90571357)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2026年度: 260千円 (直接経費: 200千円、間接経費: 60千円)
2025年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2024年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Kmt2d / MLL4 / ヒストンメチル化 / epigenetic / 骨髄異形成症候群 / 急性白血病 / KMT2D / エピジェネティック / 急性骨髄性白血病 |
研究開始時の研究の概要 |
骨髄異形成症候群は難治性の疾患であり、新たな治療法の開発が期待されている。 KMT2Dは、ヒストンH3K4メチルトランスフェラーゼ活性を有するepigenetic regulatorであり、多数の骨髄異形成症候群症例で変異が報告されている。しかし、骨髄異形成症候群におけるKMT2Dの役割については明らかにされていない。 我々は、KMT2D血液細胞特異的コンディショナルノックアウトマウス (cKO)を作成した。このモデルマウスの表現型を観察すると共に骨髄細胞の遺伝子解析などを行い、骨髄異形成症候群におけるKMT2Dの役割を解析し、病態解明と治療法の開発を行う。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、骨髄異形成症候群(MDS)で報告されているKMT2D遺伝子異常の意義を明らかにし、KMT2D遺伝子異常を持つMDSの病態の解明及び治療法の開発を行うことである。現在、我々は、Kmt2dの血液細胞特異的コンディショナルノックアウトマウス (cKO)でMDSの特徴的な表現型の一つである大球性貧血を呈するモデルマウスを作成した。このモデルマウスの観察を行ったところ、2ー3ヶ月目で白血球の著明な上昇、貧血の進行、血小板の減少など急性骨髄性白血病様の病態を取ることが明らかになった。生存期間については、Kmt2dΔ/Δマウスの生存期間中央値は119日であった。 一方で、Kmt2dΔ/+、controlマウスは150日以上観察したが現在すべて生存しており、今後も経過観察を継続する予定である。このように、Kmt2dΔ/Δマウスの生存期間はKmt2dΔ/+マウス、コントロールマウスに比較して有意に短縮していた。Kmt2dΔ/Δマウスは、100日以前ではMDS様の病態を示し、その後急性白血病様の病態を示している。これは臨床で観察される、高リスクMDSから急性骨髄性白血病へ進展していく過程が再現出来ている可能性を考えている。 このモデルを利用することで血球減少期であるMDS様の病態を呈する時期とAML様の病態を呈する時期の検体をシークエンシャルに解析出来る。この違いはMDSとAMLの病態との関わり、また造血におけるKMT2Dの役割にていて明確にできる可能性がある。 今後このマウスモデルを利用し造血器悪性腫瘍の成り立ちやKMT2Dの造血における役割をepigeneticな視点から明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究でMDSの病態を再現することを目的にKmt2dのcKOマウスを作成し解析を行っている。我々の予想どおりMDS様の病態を呈し解析可能なモデルマウスとなった。また、このマウスモデルは臨床で経験するMDSから急性骨髄性白血病への移行を短期間でみることが出来るマウスである可能性が高く、このマウスの解析を継続することは極めて重要であると考える。しかし、当初の我々の予想より早く病態が進行し死亡したため、22年度はKmt2dΔ/Δマウスの検体採取を含め十分な解析が出来なかった。23年年度に再度Kmt2dΔ/Δマウスを作成し、MDS様の病態の時期と急性骨髄性白血病様の病態に変化した時期の両方において骨髄及び末梢血の検体を採取し造血幹細胞分画(LSK細胞分画)を用いた、RNA-seqやChip-seqの検体を採取し、現在解析中である。22年度に十分に検体採取が出来なかったためやや進捗に遅れが生じている。
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今後の研究の推進方策 |
マウスモデルを用いた検討では、マウスから造血幹細胞分画を分取しRNA-seqを行い遺伝子プロファイリング比較する。発現に変化のあった遺伝子群を同定し、KEGG pathway解析やgene set enrichment analysis (GSEA)をもちいて、Kmt2dが関与する重要な遺伝子経路を同定する。造血幹細胞分画を対象に抗Kmt2d抗体と抗ヒストンH3K4メチル化抗体を用いたChip-seqの結果、及びこれらの結果と、RNA-seqで同定された遺伝子経路に含まれる遺伝子などと比較することで、Kmt2dがコントロールしている遺伝子とその役割を明らかにする。 Kmt2dが調整する重要な遺伝子の同定のため、QT-PCRやWestern blottingで上記の候補遺伝子/蛋白の発現が変化していることを確認する。確認できた遺伝子について正常骨髄、MDS細胞株、Kmt2d cKOマウスの造血幹細胞(LSK細胞)での過剰発現またはshRNAによる発現抑制や阻害剤を用いた検討を実施してその機能を検証する。 臨床検体を用いた解析では、MDSの治療前骨髄検体や、AZA-5治療によって貧血が改善した寛解期検体などの臨床検体を用い、上記検討で同定された遺伝子発現 と予後を含めたMDS臨床病態との関連、さらにその遺伝子が新規治療ターゲットとして有用か、検討する。また臨床検体を用いて、shRNAによる上記治療標的候補遺伝子のノックダウンや、候補遺伝子の過剰発現または阻害剤投与を行い、治療標的として適切か検討する。
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