研究課題/領域番号 |
22K08491
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
小迫 知弘 福岡大学, 薬学部, 准教授 (40398300)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | ATL / エピジェネティック / HTLV-1 / エピジェネティックス |
研究開始時の研究の概要 |
HTLV-1は、慢性持続感染後にATLを発症するため、感染・免疫・腫瘍の観点から興味深いモデルである。ATLは宿主の免疫低下やHTLV-1感染細胞の遺伝子異常に加え、ヒストンのメチル化などのエピジェネティクスと関連する悪性疾患である。ヒストン脱メチル化酵素およびがん化の促進因子であるSIRT7に特異的な薬剤に関する報告はない。そこで本研究では、新規エピジェネティクス制御化合物のATLをはじめとする白血病の細胞増殖抑制効果および抗腫瘍効果を検証する。本研究は、ウイルス制御の立場からエピジェネティクスを標的とした新規白血病治療法の研究であり、抗がん剤治療が主流であるなかで独創性の高い研究である。
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研究実績の概要 |
成人T細胞白血病(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の長期潜伏後に発症する。ATLは宿主の免疫低下やHTLV-1感染細胞の遺伝子異常に加え、ヒストンのメチル化などのエピジェネティクスと関連する予後不良の悪性疾患である。ヒストン脱メチル化酵素およびがん化の促進因子であるSIRT7に特異的な薬剤に関する報告はない。そこで本研究では、新規エピジェネティクス制御化合物のATLをはじめとする白血病の細胞増殖抑制効果および抗腫瘍効果を検証することにより、それらのATLおよび白血病治療応用への可能性を検討する。 ヒストン脱メチル化酵素(KDM)はメチル化されたヒストンリシン残基の脱メチル化を触媒する酵素でで、フラビン依存性のLSD1とJumonji C-domeinを含むKDM5CなどのJHDMの2つに分類される。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)は, ヒストンのリジン残基を脱アセチル化し, がん抑制遺伝子などの遺伝子発現を制御する。その中でもHDAC8は, ATL細胞の増殖に関与していることが報告されている。PROTAC は、標的とすべきタンパク質への結合性を有する分子と、タンパク質分解酵素であるユビキチン E3 リガーゼへの結合性を有する低分子を連結した、標的タンパク質の分解を誘導する化合物の一種である。本研究において、新規KDM5C阻害剤とHDAC8阻害剤及びそれらのPROTAC化合物はATL関連細胞株の細胞増殖を抑制し、アポトーシスによる細胞死を誘導した。一方、新規SIRT7阻害剤合成の進捗が遅れている。 今後、エピジェネティックを標的した薬剤およびそのPROTAC化合物のATL細胞における検討を行い、エピジェネティック制御薬剤の臨床応用に対する可能性を探索したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
理由 目標①KDM及びHDAC8を標的としたPROTAC化合物、目標②SIRT7阻害剤の2つの薬剤の検討を目標としている。 SIRT7阻害剤に関しては合成が遅れているが新規KDM5C阻害剤とHDAC8阻害剤及びそれらのPROTAC化合物のin vitroでの検証が進み、細胞増殖抑制効果を確認できている。 今後は、オートファジーを含む細胞死のメカニズム、患者由来細胞を用いたex vivoでの評価に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
目標①新規KDM5C阻害剤とHDAC8阻害剤及びそれらのPROTAC化合物:in vitroにおける細胞死のメカニズムを探索する。患者細胞を用いたex vivoの細胞増殖抑制効果を検証する。更にATLモデルマウスを用いたin vivoにおいて、薬剤の抗腫瘍効果を検証する。 目標②新規SIRT7阻害剤:新規SIRT7阻害剤の合成を急ぐ。そこで、SIRT7阻害剤合成後の更なる評価系の充実に向けてエピジェネティック制御薬剤のin vitroでの評価を行う。
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