研究課題/領域番号 |
22K08500
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
築地 長治 山梨大学, 大学院総合研究部, 講師 (20710362)
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研究分担者 |
井上 克枝 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (10324211)
大石 沙織 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (50894094)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 血小板 / 肺線維化 / CLEC-2 / GPVI / 肺繊維化 / CLEC-2/PDPN / GPVI/collagen |
研究開始時の研究の概要 |
血小板CLEC-2欠損がブレオマイシン誘導性IPFモデルマウスの死亡率や体重減少、コラーゲン産生を有意に改善した予備検討の結果をもとに、さらに遺伝子発現解析、病理解析、BALF解析、呼吸機能解析を実施して詳細に解析する。さらに、CLEC-2以外に有効な血小板の作用点があるかどうか、GPVI欠損マウス、TPO欠損マウス(血小板減少)について、肺線維化が軽減するか検証する。各種欠損マウスの結果を基に、最終的には我々が最近発見した抗CLEC-2薬や、他疾患で既に適応のあるGPVIを含めた血小板を標的とした薬剤の有効性を検証する。
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研究実績の概要 |
我々は、肺発生において血小板活性化受容体CLEC-2とそのリガンドPdpnの相互作用がalveolar duct myofibroblastの分化を通じて正常な肺呼吸に寄与していることを明らかにしたが、出生後成長に伴って当該細胞は消失してしまう。我々は、成体において不適切なCLEC-2/Pdpnシグナルの活性化が肺線維化の原因となるmyofibroblastを生みだし、線維化を増悪させるではないかと考えた。 そこで、ブレオマイシンによる特発性肺線維症のモデルマウスにおいて抗CLEC-2抗体によって血小板CLEC-2を消失させたところ、体重減少と死亡率の改善およびコラーゲン量の減少が認められた。しかしながら、この実験系に問題があり、それを回避して再度解析したところ肺線維化軽減効果は低下して有意な差が得られなかった。抗CLEC-2抗体は初回投与時に血小板減少を起こしたあと回復する血小板をCLEC-2欠損にすることができ、欠損中に再投与を行うと以降は血小板減少を起こさずにCLEC-2欠損維持期間を延長できる。通常週1回の投与で1か月ほど血小板CLEC-2欠損を維持できるが、特定の条件下(特に炎症が誘導される病態)では抗体の有効期間が短縮し、次回投与前に血小板CLEC-2の発現が回復してしまう。その状態で抗体投与を行うと初回投与時同様血小板減少を起こしてしまうことが判明した。これを考慮すると以前得られた抗CLEC-2抗体による肺線維化軽減効果は、血小板CLEC-2欠損に加えて血小板減少に起因する可能性が示唆された。 そこで、計画を前倒して血小板減少モデルマウスのThpo欠損マウス、コラーゲン受容体GPVI欠損マウスの樹立を急ぐこととした。本学支援部署でCRISPR/Cas9で作製を試み、2遺伝子それぞれに複数系統の欠損マウスが得られ、現在実験可能な個体数を確保するべく繁殖を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
抗CLEC-2抗体による肺線維化軽減に血小板減少が関与している可能性にたどり着き、CLEC-2欠損のみでは肺線維化軽減効果が弱いという結論に達するまで時間を要した。また、血小板減少を誘発するモデルとしてThpo欠損マウスを使用する計画を立てていたが、マウスが使用できるまでに薬剤や抗体投与によって血小板減少を起こすモデルを検討したものの肺線維化モデルの3週間安定して血小板減少を起こせるモデルではなかったため、Thpo欠損マウスの作製を待たざるをえなかった。さらにそのThpo欠損マウスもCRISPR/Casにより短期間のうちに樹立できると予想していたが、支援部署内での作製上のテクニカルなトラブル、施設の改修などにより遅延した。ただ、Thpo欠損マウス、GPVI欠損マウス共に得られ、交配によって次世代に遺伝することを確認できたため、以降の実験は予定通り実施できるものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Thpo欠損(持続的に血小板減少状態となる)マウスやコラーゲン(肺線維化の主体)受容体GPVIの欠損マウスが無事樹立できたため、これらに対してブレオマイシンによる肺線維化モデルを作製して肺線維化軽減効果が認められるか検証を行う。軽減効果が認められれば予定通り病態を詳細に解析して血小板やGPVI、CLEC-2の肺線維化への寄与や治療標的としての可能性を検証していく。
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