研究課題/領域番号 |
22K08512
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
黒田 純也 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70433258)
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研究分担者 |
水谷 信介 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40883088)
塚本 拓 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50825049)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | RSK2 / PDPK1 / AKT / 悪性リンパ腫 / 多発性骨髄腫 / MYC / 分子標的治療 / S6K / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では5H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-6(7H)-one誘導体がリード化合物とし、「RSK2/AKT/S6K同時トリプル制御による全ての成熟リンパ系腫瘍の克服」を目指す基盤研究、前臨床研究を連続的に行う。これまでRSK2, AKT, S6Kの選択的トリプル制御戦略は未開発であるが、既に5H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-6(7H)-one誘導体がリード化合物として候補化されている現状において、本研究によってヒット化合物を選定し、実用化にさらに接近し、全ての成熟リンパ系腫瘍に対して汎用性の高い新規の創薬を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では悪性リンパ腫(malignant lymphoma: ML)、多発性骨髄腫(multiple myeloma: MM)などの成熟リンパ系腫瘍を「包括的」に克服しうる高汎用性・低侵襲な治療戦略の開発を目指している。そこでPDPK1の下流における細胞シグナルメディエーターであるRSK2,AKT,S6に注目し、その同時制御によって成熟リンパ系腫瘍に対して、広く抗腫瘍効果を発揮し得る5H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-6(7H)-one誘導体の将来の臨床開発への発展のための理論的基盤を確立することに挑んでいる。2022年度までにML各病型別のPDPK1、RSK2、AKTの活性化状態を300検体以上で検討し、多くの病型で、ほぼ普遍的にRSK2が活性化状態にあることが明らかになっていた。今年度は臨床病態との関連を検討し、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫においてRSK2過剰発現が予後不良と有意に関連することが明らかになった。これらの結果は2023年度米国血液学会で発表し、論文執筆中である。有力な5H-pyrrolo[2,3-d]pyrimidin-6(7H)-one誘導体として2022年度までに選定した化合物Aについては、2023年度には化合物Aの分子効果の更なる詳細、患者由来初代腫瘍細胞に対するex vivo効果を検討し、化合物Aは病型に関わらずBCL由来細胞株に対して普遍的に抗腫瘍効果を発現すること、MYC被制御遺伝子群に対する抑制的効果を発揮すること、患者由来初代腫瘍細胞に対してex vivo抗腫瘍効果を示すことが明らかになった。これの結果はCancer Science誌に発表した。一方、MMに対する化合物Aの抗腫瘍効果と、その発現機序、in vivo、ex vivoモデルでの抗腫瘍効果を検討し、結果の一部について米国血液学会などにおいて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」に記載した通り、目標の化合物候補の選定に成功し、研究は化合物の臨床応用に向けた毒性試験、in vivo効果の検討段階に進展している。既に一部の結果については学会発表、論文発表に至っていることから、概ね順調と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
病型別 RSK2, AKT, S6K活性化の臨床的意義の明確化においては、成熟リンパ系腫瘍各病型において、T細胞性リンパ腫など更に臨床像との対比的検討が必要であり、継続中である。化合物Aの分子薬理学的効果には解析を重ねているが、未解明の点も残る。このため、その効果発現機序について、網羅的遺伝子発現解析などによるマルチオミクス解析を進め、効果発現機序の解明に基づく感受性予測バイオマーカーの同定、最適な併用化学療法剤の選定のための理論的基盤の獲得を目指す。また、化合物Aの効果増強のための併用戦略の開発も進める。腫瘍免疫環境に対する効果は現時点で未解明であり、T細胞、骨髄由来抑制系細胞への効果を検討する。これらについて、疾患モデルマウスでの検討も継続する。これらを取り纏め、2024年度中に多種の悪性リンパ腫におけるPDPK1、RSK2、AKTの活性化状態と臨床像の関連についての臨床病理学的検討の結果と、多発性骨髄腫に対する化合物Aの効果に関する研究結果について論文完成、投稿に到達させたい。
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