研究課題/領域番号 |
22K08517
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54010:血液および腫瘍内科学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
稲本 賢弘 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (70730349)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 造血細胞移植 / 晩期合併症 / バイオマーカー / 遺伝子解析 / 移植片対宿主病 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は造血細胞移植後晩期合併症の中で頻度が高い、GVHDと二次がんを研究課題とする。(1)近年新規GVHD治療薬の承認が進んでいるが、どの薬剤がどの患者に有効なのかを予測する方法が確立していない。これまで収集した血液中GVHDバイオマーカー候補のデータを活用し、日本人において治療効果や予後を予測するバイオマーカーを確立する。(2)これまで収集した二次がん455検体、初発がん80検体の試料と全エクソーム解析のデータを活用し、血液中のcell-free DNA/RNAおよびmicro RNAを用いたリキッドバイオプシーに応用することで、少量の血液で二次がんスクリーニングを行う技術開発を行う。
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研究実績の概要 |
(1) GVHD治療に有用なバイオマーカーの確立:消化管GVHD症例などを中心に発症時、治療後の血清検体の収集を継続した。cytometric bead arrayを用いたamphiregulinの測定系を確立し、患者検体での測定を開始した。測定したST2、REG3α、ANG2とGVHD治療データとの相関解析を行い、治療効果と死亡リスク予測に有用である可能性を発見した。硬化型GVHDのバイオマーカーについて国際学会の招待演者としてシンポジウム発表した。 (2) 二次がんの病態解明とスクリーニング法の開発:二次がんの臨床情報と検体収集を継続した。全エクソーム解析を進め、tumor mutation burdenの比較、burdenが高い症例の原因を検索した。comprehensive viral panelを用いて二次がん検体を解析する方法を確立した。二次がん症例でリキッドバイオプシーを実施し、cfDNAと組織変異との一致率を解析した。二次がん症例の血清micro RNA結果を解析し、スクリーニング有用性に関する予備解析を実施した。 (3)移植後晩期合併症に関連した臨床研究:造血細胞移植後アデノウイルス感染症の実態について、学会レジストリデータの解析を実施し、発症頻度、発症リスクと発症予測モデル、死亡リスクと死亡リスクモデル、治療内容の詳細とその成績について総括し、結果を国際誌に報告した(論文業績1)。GVHDと晩期障害の国際研究を共著者として報告した(論文業績2)。慢性GVHDの特殊型としてネフローゼを来した症例の症例報告を行い(論文業績3)、国際タスクフォースとしての総説執筆に参加した(論文業績4)。慢性GVHD治療の進歩について総説執筆した(論文業績5)。男性特有の晩期合併症の国際ガイドラインの執筆に参加した(論文業績6)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りの進捗が得られた。(1) GVHD治療に有用なバイオマーカーの確立は、cytometric bead arrayを用いて新規蛋白amphiregulinの測定系を確立し(病院臨床検査部との協力)、患者検体での測定を開始できた。これまでに測定したST2、REG3α、ANG2と消化管GVHD治療データとの相関解析を進め、治療効果予測と死亡リスク予測に有用である可能性が見えてきた。硬化型GVHDのバイオマーカーについて国際学会の招待演者としてシンポジウム発表した(学会発表1)。移植後二次がんは、実施した全エクソーム解析の解析を進め、Tumor mutation burdenの比較、burdenが高い症例の原因検索が出来た。NGSを用いたcomprehensive viral panelを用いて二次がん検体を解析する方法が確立できた(病理部との協力)。リキッドバイオプシーの予備解析が実施でき、cfDNAと組織変異との一致はVAFが0.3以上の場合や進行期がん患者で見られた。二次がん23症例とコントロール13例の既存血清を用いてmicro RNAを測定したが、一次がんで有用とされれるスクリーニングアルゴリズムでの検出は不十分であった。晩期障害に関する臨床研究の結果を3つの論文として報告し、3つの総説も執筆した(うち2つは国際共著)。
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今後の研究の推進方策 |
(1) GVHD治療に有用なバイオマーカーの確立:Amphiregulinも含めた消化管GVHDの予後予測解析を進め、学会発表、論文化を行う。他のGVHD関連蛋白のCytometric Bead Arrayを用いた測定法を開発する (2) 二次がんの細胞遺伝学的異常の解明と低侵襲で優れたスクリーニング法の開発:RNA発現解析、comprehensive viral panelを用いたウイルス解析を進める (3)移植後晩期合併症に関連した臨床研究:アデノウイルスやGVHDに関する臨床研究などを継続する
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