研究課題/領域番号 |
22K08525
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
|
研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
藤井 隆夫 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (70255462)
|
研究分担者 |
金桶 吉起 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20280589)
藏本 伸生 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70444461)
岩田 慈 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60389434)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 全身性エリテマトーデス / 中枢神経障害 / サイトカイン / モノアミン / 核磁気共鳴画像 / 神経精神ループス / 自己抗体 / 液性因子 / 機能的磁気共鳴画像法 |
研究開始時の研究の概要 |
全身性エリテマトーデス(SLE)における神経精神症状(neuropsychiatric SLE: NPSLE)の発症には①自己抗体、②液性因子(inflammatory mediators: IM)、③血管障害が関与する。申請者は、今まで脳脊髄液(CSF)中の自己抗体とIMとの関連を複数報告してきたが、局所的な脳活動や血管障害との関連は不明であった。本研究では機能的磁気共鳴画像法(functional MRI: fMRI)により解析しうる局所的な脳活動、血流動態、脳内の安静時ネットワークをNPSLE患者で調べ、[CSF-自己抗体]-[IM]-[fMRI]の関連を調べる。
|
研究実績の概要 |
本年は特に岩田准教授の論文作成を優先したため、本研究に関するデータはまだ提示できない。岩田らは、本研究に先だってびまん性徴候NPSLEの新たな評価法、サロゲートマーカーの探索を目的として2精神症状を疑う病歴や頭部MRI所見異常、疾患活動性の高いSLE患者44例に対しPsychiatric symptom rating scales (PSYRATS)を施行、後方視的に有用性を検証した。またSLE 患者95例と非自己免疫疾患対照群20例から髄液サンプルを採取し、髄液モノアミンとその代謝産物、サイトカインを測定した。ACR分類基準では、PSYRATSを施行した44例のうち7例のみがびまん性徴候NPSLEと診断されていた。びまん性徴候NPSLE以外のSLE患者37例におけるPSYRATS陽性者の割合は13例 (35.1%)であり、その全例で抑うつ症状の指標であるMADRSが陽性であった。SLE患者では、髄液HVA (Homovanilic Acid)、3,4-Dihydroxyphenylacetic Acid (DOPAC)、5-Hydroxyindole Acetic Acid (5-HIAA)、Noradrenalin (NA)濃度が対照群と比し有意に低下していた。SLE患者における精神症状と髄液モノアミン、その代謝産物、サイトカインの関連を検討したところ、特にMADRS陽性のうつ症状を呈するSLE患者では、髄液HVA濃度、さらに神経細胞分化誘導作用を有するSDF-1α濃度が有意に低下しており、HVAとSDF-1αは互いに相関した。本報告は、今回の研究に示唆を与えるものであり、当初計画していたNPSLEのCSF中のサイトカインのみならず多様なバイオマーカーがNPSLEに関与していることを示唆する。これらの液性因子と機能的MRIによる脳活動との関連も含めて今後解析を検討したいと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当院におけるSLEのコホート作成および本研究に関する倫理委委員会への申請に時間がかかっている。また当科におけるSLEコホートの作成に時間を要してしまったため、患者のリクルートが十分にできない状態であった。しかしこれらの問題はほぼ解決したことから準備は整ってきたと考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
時間を要していた倫理委員会への申請が終了し、申請が受理されたため、随時症例組み入れを開始する。昨年度は研究分担者である岩田准教授の論文が発刊されたため、髄液中のモノアミンも測定に加え、本研究の特徴である機能的MRIによる脳活動との関連を多くの症例で明確にできるよう、研究分担者を含め入院・外来患者でリクルートを積極的に開始する。コロナ禍も一段落し、当科におけるSLEコホートもほぼ完成したため、上記に関して現時点で特に問題点はない。
|