研究課題/領域番号 |
22K08561
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
石丸 かよ子 山梨大学, 大学院総合研究部, 助教 (10710353)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 報酬系 / 免疫系 / アレルギー反応 / マスト細胞 / 豊かな環境 / アレルギー |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは、脳内ドーパミン報酬系(中脳腹側被蓋野:VTA)の選択的に活性化によりI型アレルギー反応(PCA反応)が抑制されることをマウスの系で明らかにした。本研究では1)リアルワールドで見られる様々なドーパミン報酬系刺激 (食事、異性、豊富な環境等)がPCA反応を抑制するか、2)その機序はいかなるものか、3)VTA以外の脳部位でPCA反応に影響を与える部位はあるか、の3点についてマウスの系で明らかにする。本研究成果は、ポジティブな情動とアレルギーとの関係をより深く解明し、患者の日々の感情と向き合っているアレルギーの日常診療に有益な示唆を与える。
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研究実績の概要 |
アレルギーと精神活動との関係を解明することは21世紀のアレルギー学における重要なチャレンジの1つである。研究代表者らは、前向きな情動を司る脳内 ドーパミン報酬系の中心部位VTAを最新の化学遺伝学的手法(DREADD)により選択的に活性化するとI型アレルギー反応モデルであるPCA反応が抑制されることをマ ウスの系で明らかにした(Allergy 2020,IF13.0)。しかしながらDREADDによるVTA活性化は人工的な活性化であり、リアルワールドで起こるVTAの自然な活性化がI 型アレルギー反応を実際に抑制するかは不明である。またVTA活性化からI型アレルギー反応抑制に至る経路もよくわかっていない。さらにVTAが神経(ドーパミ ン)シグナルを投射する各脳部位(海馬、扁桃体、線条体、側坐核等)がI型アレルギー反応に果たす役割も不明である。 本年度は、リアルワールドで見られる様々なドーパミン報酬系刺激 (食事、異性、豊富な環境等)がPCA反応を抑制するか、その機序はいかなるものかについ て解析する目的で、特に豊富な環境に飼育したマウスと通常の環境に飼育したマウスでのPCA反応の差異について検討した。 その結果、豊富な環境(回し車を飼育ケージ内に配置した環境)で2週間飼育したマウスにおいて通常の環境で2週間飼育したマウスと比較してのPCA反応の 抑制傾向が認められた。さらにマウスの性差はこの抑制傾向に影響を与えないこと、若年マウス(8週齢)は抑制傾向を認めたが老年マウス (48週齢)では抑制傾向がなくなることが認められた。今後はこの分子細胞メカニズムについて解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、病気による休職期間があったため、研究計画は当初より遅れている。来年度にはこの遅れを取り戻す予定である。性差や年齢の要素が本研究計画に与える影響があることがわかったことは進歩であり、来年度に実験の遂行を加速するための有益な情報になる。
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今後の研究の推進方策 |
現在、豊かな飼育環境におけるVTA活性化の最適な条件(特に年齢)が見出されつつある。今後は、豊かな飼育環境によるマウスVTA活性化からPCA反応抑制に至る経路を解明するために、交感・副交感神経系やホルモン 機能をβブロッカーや抗アセチルコリン剤、コルチコステロン受容体拮抗薬、神経ペプチド阻害剤等を用いて薬理学的に抑制しPCA反応抑制効果への影響を検討する。
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