研究課題/領域番号 |
22K08570
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 日本薬科大学 |
研究代表者 |
岡田 直子 日本薬科大学, 薬学部, 講師 (50636165)
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研究分担者 |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
吉川 衛 東邦大学, 医学部, 教授 (50277092)
井上 裕子 日本薬科大学, 薬学部, 教授 (50367306)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | エピジェネティクス / アレルギー / 線維芽細胞 / アレルギー疾患 |
研究開始時の研究の概要 |
アレルギー疾患は2型炎症反応を主因とする炎症性疾患である。これらを対象とした分子標的治療薬が開発されたにも関わらず、未だ既存治療に抵抗性を示す難治例が存在し、その原因解明が課題となっている。申請者はこれまでに2型炎症に依存しない難治化因子として線維芽細胞に着目し、検討を行ってきた。その結果、重症アレルギー性眼疾患の線維芽細胞がペリオスチンの過剰発現を起こすことを明らかにし、この変化にエピジェネティクスの関与を推測した。本研究では、線維芽細胞のエピジェネティクス機構の全容解明を通じて、線維芽細胞のエピジェネティクス異常とアレルギー疾患の難治化への関わりを解明し、新たな治療戦略の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究では、アレルギー疾患の難治化における線維芽細胞のエピジェネティクス機構を解明し、エピゲノム制御に着目した新たな難治化メカニズムの究明を目的とする。本年度は、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞におけるペリオスチン遺伝子の高発現と関連したプロモーター領域でのヒストン修飾H3K9me3の低下の原因について、解明を行った。 まずはH3K9me3の脱メチル化あるいはメチル化に関与する酵素群に着目し、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞における発現変動をqPCR法により検証した。その結果、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞では、H3K9me3の脱メチル化酵素のひとつであるKDM4BおよびKDM3Aの遺伝子が有意に高発現していることを明らかにした。この際、他のH3K9me3の脱メチル化酵素の発現変化についても検討したところ、KDM4A、KDM4Cにおいては変動がないこともわかった。 次に、同定されたKDM4BおよびKDM3Aについて、siRNAを設計し、患者線維芽細胞へ導入を行い、遺伝子発現への影響を確認した。その結果、KDM4B siRNA導入時に、患者線維芽細胞からのペリオスチン遺伝子発現が有意に低下することを明らかにした。これは、KDM3A siRNA導入時には変化なかった。つまり、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞におけるKDM4B遺伝子の発現増強が、ペリオスチン高発現の重要な因子であることを見出した。 以上より、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞におけるペリオスチン遺伝子の発現調節の一端を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞におけるペリオスチン遺伝子のプロモーター領域のH3K9me3の低下の原因について、解析が順調に進み、H3K9me3の脱メチル化酵素のひとつであるKDM4Bの発現上昇が、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞におけるペリオスチン高発現と関連することを明らかにした。現在は、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞におけるペリオスチン以外の難治化因子解明のために、ステロイドへの反応性を検証するなど順調に検討を行っている。さらに、次年度に計画しているアレルギー性の鼻疾患由来線維芽細胞の収集、実験準備も並行して進めており、順調である。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度、2023年度に得られた結果を基にして、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞において、新たに見出したエピゲノム制御酵素KDM4Bの病態難治化における役割を詳細に検証する。 まず、KDM4Bが発現制御する遺伝子を調査するため、siRNAを用いたエピゲノム酵素阻害系を用いて、重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞において発現変動する遺伝子をマイクロアレイおよびqPCRを用いて検討する。特に、線維芽細胞において副腎皮質ステロイド薬に抵抗性を示す遺伝子に着目し、KDM4Bによる発現制御を確認する。同時に、プロモーターにおけるエピゲノム変化についても、クロマチン免疫沈降法(ChIP)を用いて検証する。また、患者線維芽細胞においてKDM4Bを制御することによる細胞機能への影響についても検討する。細胞増殖能への影響は、細胞増殖アッセイを用い、変化を確認する。培養上皮細胞との相互作用は、コロニー形成アッセイ系を用い、正常線維芽細胞と比較する。 次に、重症アレルギー性眼疾患以外のアレルギー疾患由来線維芽細胞における、エピゲノム制御酵素KDM4Bの関わりを検証する。今回は、アレルギー性鼻炎を対象とし、既存治療応答性群と抵抗性(難治)群に分け、線維芽細胞を培養する。すでに重症アレルギー性眼疾患線維芽細胞で同定されているペリオスチンおよびKDM4Bに着目し、遺伝子発現変動をqPCRおよびマイクロアレイを用いて確認する。さらにペリオスチン遺伝子のプロモーター領域のH3K9me3の変動についても、ChIPを用いて確認する。 本研究より、アレルギー性疾患の難治化における線維芽細胞のエピジェネティクス変化の共通性を検証し、病態への関与を明らかにする。
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