研究課題/領域番号 |
22K08573
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
海江田 信二郎 久留米大学, 医学部, 准教授 (20330798)
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研究分担者 |
星野 友昭 久留米大学, 医学部, 教授 (00261066)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | マスト細胞 / 筋線維芽細胞 / 組織線維化 / IgG4関連疾患 / 線維芽細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
IgG4関連疾患は多数のリンパ球およびIgG4陽性形質細胞の浸潤と花むしろ状と呼称される特徴的な線維化により臓器障害に至る慢性炎症性疾患である。自己免疫が病因と考えられるが、その発症機序は解明されておらず、ステロイド減量による再燃率も高いため、病態形成メカニズムの解明と新規治療法の確立が急務である。我々はマスト細胞が線維芽細胞を筋線維芽細胞へ分化誘導し、組織線維化へ促進的に作用する作業仮説に至った。IgG4関連疾患におけるマスト細胞の機能解析を行い、マスト細胞による組織線維化抑制を介した臓器障害進展改善に寄与する新規治療法の確立を目標に本研究を行う。
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研究実績の概要 |
IgG4関連疾患顎下腺炎はIgG4陽性形質細胞の浸潤と花筵状と称される特有の組織線維化が特徴である。先行実験で線維化部位にマスト細胞の増殖と近位に線維芽細胞や筋線維芽細胞に位置することを明らかにし、マスト細胞が筋線維芽細胞の分化促進的に作用し線維化病態に関与すると仮説を立て、本研究を行った。マスト細胞(HMC-1) ヒト肺由来線維芽細胞の共培養実験を行い線維芽細胞の分化誘導促進効果について検討を行った。共培養実験ではcell-cell contactにより線維芽細胞のvaiabilityが低下し、十分な期間の培養維持が困難であった。われわれはTranswell membraneを用いマスト細胞ー線維芽細胞の細胞接着を阻害し、可溶性因子の関与について共培養実験を行い検討した。線維芽細胞はHMC-1と共培養後、線維芽細胞単独培養群と比較しα-Smooth muscle actin責任遺伝子ACTA2 mRNAの有意な上昇をRT-qPCR法で確認し、マスト細胞由来可溶性因子による線維芽細胞→筋線維芽細胞への分化誘導が示唆された。さらに我々はHMC-1をIL-33およびSCFで刺激し、HMC-1ーconditioned mediumを作成し、マスト細胞由来可溶性因子による影響を調べるため線維芽細胞培養実験に使用した。HMC-1-conditioned mdiumを使用した線維芽細胞培養群においてACTA2 mRNAの有意な上昇を認め、HMC-1由来可溶性因子が線維芽細胞の筋線維芽細胞分化誘導に寄与することを確認した。研究計画調書で立案したマスト細胞による筋線維芽細胞への分化誘導機序解析についてはマスト細胞由来可溶性因子が重要な役割を果たすことを明らかにした。実験計画に従い次年度はマスト細胞由来因子を同定し、その分子標的阻害によるIgG4関連疾患新規治療開発について研究を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書で立案したマスト細胞による筋線維芽細胞への分化誘導の機序解析についてはこれまで行った実験結果からマスト細胞由来可溶性因子が重要な役割を果たすことを明らかにしている。予定通り次年度はマスト細胞由来筋線維芽細胞分化誘導因子の同定を試みる。マスト細胞の筋線維芽細胞分化誘導について可溶性因子の関与について明らかにしたが、接着因子についての検討が不十分である。HMC-1と異なるマスト細胞(マウス骨髄由来マスト細胞など)を用いた共培養実験を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書で立案したマスト細胞による筋線維芽細胞への分化誘導の機序解析については令和4年度に行った実験結果からマスト細胞由来可溶性因子が重要な役割を果たすことを明らかにしている。実験計画書に従い筋線維芽細胞分化誘導を有するマスト細胞由来線維化促進因子の同定を試みる。可溶性因子の同定に関してはTranswell membraneを用いたHMC-1 線維芽細胞の共培養実験系を確立し、細胞分離が容易であるためマスト細胞 線維芽細胞からそれぞれmRNAの分離が可能である。そのためMicroarray法を用いた関連遺伝子の網羅的解析が可能である。また文献検索によりマスト細胞由来可溶性候補因子についてtarget approachも行う予定である。可溶性因子同定後はその中和抗体投与により筋線維芽細胞分化阻害効果を確認する。共培養実験に加えHMC-1をIL-33/SCF刺激後に得られるHMC-1-conditioned mediumを線維芽細胞培養実験に用い、異なる実験系を用いて可溶性因子の解析を複数の実験系を用いて行う。
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