研究課題/領域番号 |
22K08574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54020:膠原病およびアレルギー内科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岩田 慈 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (60389434)
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研究分担者 |
田中 良哉 産業医科大学, 医学部, 教授 (30248562)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | SLE / NPSLE / SCGF-1β / SDF-1α / HVA / モノアミン / 免疫代謝 / B細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
NPSLEは予後に大きく影響する。本研究では「NPSLEにおける生理活性物質不均衡は、B細胞異常を介する病態悪化に関与するか?」を明らかにする。精神疾患ではモノアミン仮説が提唱され、神経細胞より放出されるモノアミン (代謝産物)は情動変化に深く関与する。本研究では、患者末梢血・髄液を用いた網羅的解析から、①NPSLEの病態に深く関与する生理活性物質の同定、②そのB細胞分化異常、臨床像への関連、③in vitroで生理活性物質がB細胞分化を誘導する機序、を検証する。病態に重要な生理活性物質を同定し、標的を絞った副作用の少ない新規治療薬開発をめざす。
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研究実績の概要 |
NPSLE、特にびまん性徴候を呈するNPSLEの新たな評価法、サロゲートマーカーの探索を行った。方法としては、当院に入院した精神神経症状の病歴を有し、頭部MRI所見異常を伴う疾患活動性の高いSLE患者44例に対しPsychiatric symptom rating scales (PSYRATS)を施行、後方視的にその有用性を検証した。主要評価項目はびまん性徴候NPSLEと診断されていないSLE患者におけるPSYRATS陽性率とした。1999年ACR分類基準では、PSYRATSを施行した44例のうち7例のみがびまん性徴候NPSLEと診断されていた。PSYRATS陽性率は、びまん性徴候NPSLEとは診断されていない SLE患者37例のうち13例 (35.1%)に達し、その全例でPSYRATSの中で抑うつ症状の指標であるMADRSが陽性であった。さらに、NPSLEとは診断されていなくても、抑うつ症状を呈してMADRS陽性のSLE患者20例では、髄液中のHVA濃度、SDF-1α、SCGF-1β濃度がMADRS陰性SLE症例と比較し有意に低下しており、HVA、SDF-1α、SCGF-1βは互いに相関した。活動性SLEでは潜在性に抑うつ症状を有する症例が多く存在し、MADRSによる精神症状評価はその検出に有用である。さらに髄液HVA、SDF-1α、SCGF-1βの低下は同病態を反映しており、サロゲートマーカーとなる可能性がある。また、NPSLE評価法として、造影剤が血管からextracellular extravascular spaceに漏出する移行速度定数を画像化したDynamic Contrast-Enhanced Magnetic Resonance Imagingの有用性の検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回、NPSLEの新たな評価指標として、髄液における神経分化因子であるSDF-1α、神経幹細胞の分化において重要なSCGF-1βの有用性、さらに潜在性鬱症状を有する症例における精神症状評価スケールMADRSの有用性、画像評価としてKtransの有用性などが明らかになり、新たなNPSLEの評価指標を見いだすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
NPSLEにおけるサロゲートマーカーや画像の評価については以前不詳な点が多く、末梢血、髄液検体を用いて、その他の生理活性物質(アデノシンヌクレオチドなど)の有用性など、さらなる検討を行いたい。またfunctional MRIなどを含めた特殊撮像MRI技術についてもさらに検討を進めていきたいと考えている。
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