研究課題/領域番号 |
22K08577
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
山本 秀輝 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90799082)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | インフルエンザ / C型レクチン受容体 / ワクチン / 自然免疫受容体 / 感染症防御学 |
研究開始時の研究の概要 |
本邦ではインフルエンザ予防接種においてインフルエンザウイルス主要抗原であるヘマグルチニン(HA)を基盤とした不活化スプリットワクチンが導入されている。本研究では、微生物由来糖鎖を認識する受容体であるC型レクチン受容体(CLRs)に焦点を当て、CLRsを介したHA特異的抗体産生応答における詳細な細胞動態および分子間相互作用を解析する。この解析から、CLRsを標的とした新規メカニズムによるインフルエンザ予防基盤導入の可能性を探る。
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研究実績の概要 |
本研究では抗原提示細胞に発現し、高マンノース糖鎖を認識するC型レクチン受容体であるDectin-2に着目し、インフルエンザウイルス(IFV)由来ヘマグルチニン(HA)により誘導される宿主抗体応答におけるDectin-2の関与を検討した。 はじめに、A型およびB型IFV由来HAを含有する4価混合ワクチンを野生型(WT)マウスまたはDectin-2遺伝子欠損(KO)マウスに腹腔投与した際の宿主応答について解析を試みた。4価ワクチンの総和としての血清IgMおよび総IgG抗体価は両群間で有意差はみられなかった。一方で、A/H1N1pdm09亜型またはA/H3N2亜型に対する各IgGアイソタイプについて比較したところ、両亜型特異的IgG3抗体がDectin-2 KOマウスにおいて有意に低下した。 さらに、これまでの解析でDectin-2はA/H3N2亜型HAとの高い親和性がみられたため、この亜型に対する宿主免疫応答に焦点を当てた解析を行った。HA投与14日後のHA特異的血清IgM抗体価はWTマウスと比較してDectin-2 KOマウスで有意な低下がみられた。この応答に関与するリンパ球動態を解析したところ、HA投与7日後の脾臓IFN-γ+CD4+ T細胞および14日後のCXCR5+CD4+ 濾胞ヘルパーT細胞の割合がWTマウスと比較してDectin-2 KOマウスで有意に減少した。すなわち、これら細胞群がDectin-2をトリガーとしたHA特異的IgMおよびIgG3産生に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。IgMおよびIgG3は多糖類に代表される胸腺非依存性抗原(TI)に対して産生されるアイソタイプであるため、Dectin-2はIFV糖鎖に対する抗TI抗体応答に関与する可能性があり、より詳細な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ワクチン投与後のリンパ球動態の解析をより詳細に進めており、現段階で解析途中であるため。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は4価インフルエンザワクチン投与による抗体産生および応答に関与するリンパ球動態におけるDectin-2の貢献について解析を進めることができた。中でも、A型IFVに対する多糖特異的抗体応答においてDectin-2が重要な役割を果たしていることが示唆されたため、今後はより詳細な分子応答について解析を進める予定である。
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