研究課題/領域番号 |
22K08579
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
靭 千恵 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (50570834)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | B型肝炎ウイルス / 持続感染 / 宿主因子 / トランスクリプトーム解析 / 抗ウイルス薬 / 天然物 / 抗ウイルス物質 / インドネシア産薬用植物 |
研究開始時の研究の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染は肝がんの発生リスクとなっているが、現在の治療法ではHBVの完全排除は困難な状況である。そのため、HBVの持続感染機構を明らかにしたり、HBVの完全排除を目指した創薬研究が必要である。本研究は、培養細胞を用いてB型肝炎持続感染モデルを構築し、1細胞レベルで遺伝子発現解析を行い持続感染に関与する新規宿主因子を同定する。また、生物多様性豊かなインドネシア国の薬用植物抽出エキスをスクリーニング評価し、cccDNAの形成や維持に影響を及ぼす天然物由来の抗HBV物質を単離・同定する。
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研究実績の概要 |
B型肝炎ウイルス(HBV)の持続感染は肝がんの発生リスクとなっているが、現在の慢性B型肝炎に対する治療法ではHBVの完全排除は困難な状況である。そこで、本研究は、B型肝炎の持続感染に重要な新規宿主遺伝子を同定しその機能を明らかにするとともに、インドネシア薬用植物含む天然物資源からcccDNAを標的とした新規抗HBV物質を同定することを目的とする。初年度は、HBV持続感染を再現する培養細胞モデルの確立として、まずHuh7細胞にNTCP分子を発現するHuh7-NTCP細胞(8種)を樹立した。また、Huh7細胞を、AB型正常ヒト血清を最終2%になるように添加した培地で培養を行うと、約2週間で細胞増殖が停止し、その後も死滅せずに維持されることを確認した。この細胞増殖が停止したHuh7細胞が、肝細胞に近い代謝活性を維持するのかどうか、HBV感染性や持続感染能と合わせて検証している。持続感染実験の新たな細胞モデルを確立できれば、病態解明や治療薬の開発に有用となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
HBV感染感受性細胞であるHepG2-NTCP細胞を用いて、正常ヒト血清含有培地下で培養し細胞増殖を停止させる条件の検討を行っていたが、最適条件を見いだすことができなかった。一方で、他グループより、正常ヒト血清培地下で培養したHuh7.5細胞は、増殖を停止し、肝細胞に近い代謝能を持つ状態になることが報告された。そこで、研究室で培養しているHuh7細胞を正常ヒト血清含有培地で培養したところ、約2週間で細胞増殖が停止することを確認した。そして、NTCPを恒常発現するHuh7細胞を新たに構築することを行った。
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今後の研究の推進方策 |
Huh7-NTCP細胞をヒト血清含有培地下で培養し増殖が停止した細胞のVLDL/ApoBやアルブミン分泌等の代謝維持能の状態、肝細胞分化マーカの発現、インターフェロン応答性について調べる。また、Huh7-NTCP細胞に、HBV(genotype D)を感染させ、細胞内のウイルス抗原発現量(pgRNA, cccDNA, HBsAgなど)が高い細胞を選出する。ヒト血清含有培地下でHuh7-NTCP細胞を2週間培養した後に、HBVを感染させ、感染細胞を維持(14-30日間)する。持続感染細胞と非感染細胞から、RNAを抽出してトランスクリプトーム解析を行う。
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