研究課題/領域番号 |
22K08584
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
|
研究機関 | 東北大学 (2023) 京都府立医科大学 (2022) |
研究代表者 |
村越 ふみ 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (20759906)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
|
キーワード | リーシュマニア / 共生ウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
リーシュマニア症は、リーシュマニア原虫によって引き起こされ、ヒトを含む哺乳動物において粘膜破壊や肝脾腫、皮膚の潰瘍を引き起こし、時に致死的となるため世界的な問題となっている。 近年、多様な寄生性の真核生物(原虫)から共生ウイルスが検出され、一部の原虫では共生ウイルスの存在が原虫の病原性を高めることが報告されているが、その機序は不明な部分が多い。 そこで本研究では、共生ウイルスによる皮膚リーシュマニア症の重症化機構の解明を目的とする。これにより、リーシュマニア症のみならず、多様な原虫感染症の新規治療法の確立を目指す。
|
研究実績の概要 |
近年、リーシュマニアを含む寄生性原生生物(原虫)の多くに、2本鎖RNA(dsRNA) ウイルスが存在していることが明らかとなった。また、dsRNAウイルスの存在は原虫の宿主に対する病原性を高めることが、南米大陸で問題となる粘膜皮膚リーシュマニア原虫(Leishmania guyanensis)において報告されているが、詳細は明らかになっていない。 申請者は、RNA依存性RNAポリメラーゼ阻害剤を用いることによって、共生ウイルス(LRV2)を持つL. majorから、LRV2を持たないリーシュマニアを作出・クローン株を得ることに成功した。これにより、共生ウイルスの存在によるL. major側の遺伝子発現の変化とL. majorが感染した宿主側の遺伝子発現変化の詳細な比較解析が可能となった。共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorを用いて、マウスに感染実験をおこなった結果、共生ウイルスを持つL. majorを接種したマウスは病変の大きさが早期に悪化した。今年度は共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorを接種したマウスの遺伝子発現変化の網羅的解析およびリーシュマニアの生活環毎にウイルスの有無で変化した遺伝子の網羅的解析をおこなった。その結果、リーシュマニアおよびマウスの両方においてウイルスの有無による有意な遺伝子の変化がみられた。特に、マウス側においてウイルスの認識に関わる遺伝子の有意な上昇がみられ、リーシュマニアの病態の悪化はリーシュマニアに存在しているウイルスが宿主の免疫に認識されることによって引き起こされることが示唆された。今回得られた複数の遺伝子は既報で報告されている遺伝子とは異なっており、新たな免疫応答であることが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は共生ウイルスの有無のみが異なるL. majorおよびそれを接種したマウスのトランスクリプトーム解析が終了した。また、電顕撮影をおこなった。研究はおおむね順調に進展している。
|
今後の研究の推進方策 |
今回明らかになった遺伝子の発現を抑えることによってリーシュマニアの病態悪化を抑えることが可能かを、マウスを用いて調べる。 共生ウイルスを除去したリーシュマニアに共生ウイルスを戻す実験が可能かを検討する。
|