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性線毛を産生する多剤耐性菌を特異的に殺菌する方法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K08592
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分54030:感染症内科学関連
研究機関中村学園大学

研究代表者

川野 光興  中村学園大学, 栄養科学部, 准教授 (00455338)

研究分担者 鹿山 鎭男  国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 室長 (50432761)
近藤 恒平  国立感染症研究所, 薬剤耐性研究センター, 研究員 (60896554)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
キーワードバクテリオファージ / 薬剤耐性菌 / 抗菌法 / ファージセラピー / アンチセンスRNA
研究開始時の研究の概要

本研究では、多剤耐性菌に対する感染症治療手段を確保することを目指し、薬剤耐性遺伝子をもつ各種接合伝達性プラスミド(Rプラスミド)保有菌「オス菌」に感染するファージを用いて新規抗菌法の開発を行い、臨床応用に向けた研究基盤を構築することを目的とする。
我々が開発した抗菌システムを、Rプラスミドを保持する細菌「オス菌」が産生する性線毛を介して感染する繊維状ファージに導入して用いることで、様々なタイプの薬剤耐性菌を標的にした感染症対策を行える。さらに、既存の抗菌薬と異なり性線毛産生菌限定的な殺菌効果を示すため、正常な腸内細菌叢を乱さない抗菌薬の開発に繋がることが期待できる。

研究実績の概要

小売店で購入した鶏肉から12種類のESBL産生菌を分離した。このESBL産生菌に感染し溶菌するファージの探索を行い、それを用いて食品上で殺菌効果の検証を行った。
下水サンプル液とESBL産生菌培養液を混合し、二重平板法を用いてプラーク形成実験を行った。上記実験において、プラークが大きかった3種類のファージ(φ13-1、φ14-1、φ17-1)を12種類のESBL産生菌に感染させる実験を二重平板法で行った。今回はMOI 100~0.0001の7種類とファージなしの合計8種類の条件にてマイクロタイタープレートを用いて実験を行った。30分おきに24時間継続してOD610の吸光度測定を行い増殖曲線を作成した。食品として鶏むね肉、プロセスチーズ、米飯を用い、紫外線で食品表面の細菌を殺菌しチューブに移した食品に宿主菌を塗布し、ファージ液を添加した。28℃で一晩培養した食品をSMバッファーで処理し、希釈した菌液をセフォタキシム含有LB寒天培地に塗布して37℃で一晩培養した。
12種類中10種類のESBL産生菌に対し感染するファージを単離することができた 。どのファージも探索に用いたESBL産生菌にしか感染せず、高い宿主特異性を示した。12種類中φ13-1のプラークが大きく透明度も高かったため、φ13-1の高力価ファージ液を作成した。液体培養におけるファージの感染実験において、24時間後に低い濁度を示したのは、MOI=1とMOI=0.01であった。チーズ上では、ファージを入れた液は6.0×10^5 cfu/mlを示し、ファージを入れていない液は2.3×10^7 cfu/mlを示し、ESBL産生菌を97.3%減少することができた。鶏肉と米飯ではファージによる殺菌効果を証明するには至らなかった。電子顕微鏡での撮影により、MyovirusとSiphovirusと呼ばれるファージを観察した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

前学期は授業と学生実験の授業がほぼ毎日あったため実験が思うように進まなかった。また、N型性線毛を感染の受容体とするファージを探索するための、ファージスクリーニングに用いる宿主菌の作製に予想よりも時間がかかった。ゲノム配列解読と情報解析を共同研究先に依頼しているが、解析依頼が多く未だ結果を得られていない。

今後の研究の推進方策

最終年度は、各種性線毛産生菌に特異的に感染するファージの探索を精力的に行っていく。ファージ取得後は、ゲノム解析、感染実験、性状解析、形態解析等を行う。ファージセラピーに向けて有用なファージが見つかった場合は、アンチセンスRNA遺伝子カセットの挿入や育種(変異)により、知財権を取得することのできる改変ファージの作成を行う予定である。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] Characterization of 29 newly isolated bacteriophages as a potential therapeutic agent against IMP-6-producing <i>Klebsiella pneumoniae</i> from clinical specimens2023

    • 著者名/発表者名
      Kondo Kohei、Nakano Satoshi、Hisatsune Junzo、Sugawara Yo、Kataoka Michiyo、Kayama Shizuo、Sugai Motoyuki、Kawano Mitsuoki
    • 雑誌名

      Microbiology Spectrum

      巻: 11 号: 5

    • DOI

      10.1128/spectrum.04761-22

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Isolation and characterization of bacteriophages against IMP-6-producing<i>Klebsiella pneumoniae</i>isolated from clinical settings in Japan2022

    • 著者名/発表者名
      Kondo Kohei、Nakano Satoshi、Hisatsune Junzo、Sugawara Yo、Kataoka Michiyo、Kayama Shizuo、Sugai Motoyuki、Kawano Mitsuoki
    • 雑誌名

      bioRxiv

      巻: 1 ページ: 1-1

    • DOI

      10.1101/2022.11.05.515272

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • オープンアクセス
  • [学会発表] 福岡市内の流通食品における薬剤耐性菌の検出状況および耐性遺伝子の解析2023

    • 著者名/発表者名
      中島瑠南, 桑野玲奈, 近藤百香, 松尾朋香, 川野光興
    • 学会等名
      第44回日本食品微生物学会学術総会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] IMP-6産生肺炎桿菌に感染する新規バクテリオ ファージの解析2023

    • 著者名/発表者名
      川野光興, 近藤恒平
    • 学会等名
      第46回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] 臨床分離されたIMP-6産生肺炎桿菌に感染するバクテリオファージの単離と感染解析2023

    • 著者名/発表者名
      川野光興, 近藤恒平
    • 学会等名
      第96回日本細菌学会総会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 臨床由来のカルバペネム耐性肺炎桿菌を標的とした新規ファージの単離と解析2022

    • 著者名/発表者名
      近藤恒平, 中野哲志, 久恒順三, 菅原庸, 片岡美千代, 鹿山鎮男, 菅井基行, 川野光興
    • 学会等名
      日本ファージセラピー研究会第2回研究集会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
  • [学会発表] 抗菌アンチセンスRNAによる多剤耐性菌殺菌法の開発2022

    • 著者名/発表者名
      川野光興
    • 学会等名
      第45回日本分子生物学会年会
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

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公開日: 2022-04-19   更新日: 2024-12-25  

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