研究課題/領域番号 |
22K08593
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 高知学園大学 |
研究代表者 |
松崎 茂展 高知学園大学, 健康科学部, 教授 (00190439)
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研究分担者 |
内山 淳平 岡山大学, 医歯薬学域, 准教授 (20574619)
岩本 昌大 高知学園大学, 健康科学部, 助教 (40930871)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | ピロリ菌 / バクテリオファージ / ピロリ菌ファージ / レセプター分子 / リガンド分子 |
研究開始時の研究の概要 |
ピロリ菌に感染するKHP30様ファージは、ピロリ菌の鞭毛運動やCagAタンパク質の病原因子発現との関連が示唆されているため、本ファージのライフサイクルの全貌の解明は、ピロリ菌の病原性を理解する上で重要である。本研究では、ファージのライフサイクルの最初期のイベントであるファージの細菌への吸着機構の解明を目指す。吸着は、ファージ側のリガンド分子と細菌表層に存在するレセプター分子の特異的結合に起因するため、各分子を特定する。そののち、この特異的相互作用を利用する、ピロリ菌検出法・除菌法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
ピロリ菌(helicobacter pylori)に感染するバクテリオファージ(ファージ)は、現在Schmidvirus属に属する4種のみが知られているいるが、そのライフサイクルはほとんど明らかにされていない。本研究では、申請者らが分離したSchmidvirusであるKHP30およびKHP40について、ライフサイクルの最初期のプロセスである宿主菌認識機構を解明することを目的とした。そのため、(1)これらのファージの各種ピロリ菌株に対する宿主域の比較、また(2)KHP40保有ピロリ菌の、ファージ感受性に関する経時的変化を検討した。KHP30とKHP40の宿主域をストリーク法によって比較すると、両者ともに感染できる菌株、両者ともに感染できない菌株、KHP30にのみ感受性を示す菌株が存在した。KHP30のみが感染できKHP40が感染できない菌株は、KHP40を作用させたとき吸着を起こした時に見られる溶菌斑(lysis from without)も見られないことから、吸着能を持っていないと考えられる。当該菌株の、外膜タンパク質、鞭毛、線毛、莢膜の比較によりレセプター分子を特定できると考えられた。また、KHP40株を自然放出しているKMT83株は、通常ファージKHP40に対して非感受性である。これは、lysis from withoutが見られないため、吸着が行われていないためと予想された。ところが、シングルコロニー分離を行ない、一度単一細胞に戻し増殖させると、初期の一時期において感染能の回復が認められ、さらに継代を続けると感染能が失われることが明らかとなった。すなわち吸着能が、一時的に回復すると考えられた。これらの、KHP30およびKHP40の吸着能の違いは、ピロリ菌株におけるレセプター探索のための重要な指標となると期待された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
バクテリオファージKHP30が吸着でき、KHP40が吸着できない菌株が少なくとも4株孫座していることが明らかにになった。これらと両者ともに感染できる菌株、および両者ともに感染できない菌株の細胞表層構造の比較によりレセプター分子を特定できると期待される。
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今後の研究の推進方策 |
バクテリオファージKHP30に感受性を持ちKHP40に感受性をもたないない菌株、両者に感受性を示す菌株、両者ともに感受性を示さない菌株について以下の実験を行う。(1)レセプターがタンパク質性のものか、LPSのような非タンパク質性のものであるかを検討するため、菌体をオート―クレーブし、吸着活性を保持しているか否かを検討する。(2)加熱により吸着活性が失われた場合タンパク質性レセプターを考慮し、菌体の膜成分を回収しサルコシル等の界面活性剤により外膜タンパク質を抽出する。外膜タンパク質サンプルが、上記ファージの吸着活性を阻害するか否かを検討する。(3)外膜タンパク質をゲル濾過法により分離し、吸着阻害活性を示すタンパク質を特定し、レセプター分子とする。(4)レセプター分子のN-末端アミノ酸配列を解析を行ない、ピロリ菌ゲノム上の遺伝子を特定する。(5)レセプターがLPS等の非タンパク性分子であることが想定された場合、LPSを抽出しSDS電気泳動法によりパターンの比較を行う。
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