研究課題/領域番号 |
22K08596
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
相内 章 国立感染症研究所, 感染病理部, 室長 (10572133)
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研究分担者 |
中尾 龍馬 国立感染症研究所, 細菌第一部, 主任研究官 (10370959)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ワクチン / 感染防御能 / 相関 / 免疫学的指標 / 百日咳 / 膜小胞 / 経鼻接種 |
研究開始時の研究の概要 |
日本発のワクチンである精製百日咳ワクチンaP(百日咳菌よりワクチン有効成分を抽出した無細胞ワクチン;acellular vaccine)が果たす発症予防効果を維持しつつ、感染防御を可能とするために必要となる他の抗原をMVs(百日咳菌が産生する膜小胞;Membrane Vesicles)により供給する「PT+MVs」を抗原とした経鼻百日咳ワクチンにより誘導される免疫応答の評価を行う。
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研究実績の概要 |
百日咳は百日咳菌によって引き起こされる急性呼吸器感染症であり、ワクチンにより予防可能な疾患とされている。しかしながら、近年世界的に百日咳の患者数は著しく増加傾向にある。その原因として、現在主流となっている日本発の無細胞ワクチン(acellular pertussis vaccine; aP)によって誘導された免疫が持続しないこと、発症予防効果はあるものの感染自体を防御できないことが原因として考えられている。本研究課題では、百日咳無細胞ワクチンに不足している部分を百日咳菌由来の膜小胞(Membrane Vesicles; MVs)の添加で補いつつ、呼吸器感染症の防御に重要な呼吸器粘膜上の分泌型IgA抗体も誘導できる経鼻百日咳ワクチンの可能性を評価することを目的とする。 前年度の検討により、百日咳菌由来のMVsに含まれる主要抗原の評価を終え、マウスにおける感染条件の検討を行い良好な結果を得ることができたため、今年度は、MVs + aP(当初のMVs + PT(百日咳毒素)から + aPに変更)の経鼻接種により誘導される抗体応答、及び感染防御効果の評価を行なった。 ワクチン接種後に血清中、鼻腔および肺洗浄液中の抗体応答の評価を行なったところMVs + aP経鼻接種群のみが鼻腔洗浄液中に百日咳抗原に対するIgA抗体を含むことが明らかとなった。さらにワクチン接種後に、ワクチン株であるTohama株を用いた感染を行ったところ、MVs + aP経鼻接種群において肺と鼻腔内両方で生菌数を抑えることができ、感染防御効果が示唆された。 今後は経鼻百日咳ワクチンの感染防御効果について、国内で分離された臨床分離株に対しても同様の傾向が見られるのか否か評価していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
感染防御効果の指標となる生菌数の測定系の検討に時間を要したが、ワクチン接種後の抗体応答およびTohama株に対する感染防御効果の評価では、概ね良好な結果を得ることができた。ワクチン接種後のTh1/Th17の評価や、好中球の応答は既報の論文からの評価系を元に、適宜評価を行っていく予定である。 今回感染に用いたTohama株以外にも、複数の臨床分離株で感染防御効果の評価を行い、今後の方針を検討していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度上半期では、MVs + aPの経鼻接種において臨床分離株に対する感染防御効果ならびに抗体応答の評価を行う。同時にワクチン接種後の抗体応答、Th1/Th17および好中球応答に関する評価系について検討する。下半期では、ワクチン接種個体におけるTh1/Th17評価および好中球応答の評価を行い、感染防御に寄与する免疫応答を明らかにする予定である。
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