研究課題/領域番号 |
22K08603
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
近田 貴敬 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 特任講師 (60749711)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | HIV-1 / HIV予防ワクチン / HESN / HIV-1特異的T細胞 / エピトープ / ワクチン |
研究開始時の研究の概要 |
新規HIV-1感染者が毎年170万人いる一方、未だに有効な予防ワクチンはない。そのため、今までとは異なる新たなコンセプトによってワクチン開発を行う必要がある。これまで、感染リスクが高い集団の中でウイルス曝露後に感染が成立しない人が存在し、さらに彼らからHIV-1特異的T細胞反応が検出されることが明らかになっているが、未だそのT細胞が感染防御に対して有効であるかどうか証明されていない。そこで本研究では感染リスクの高い日本人非感染MSMを対象としてHIV-1特異的T細胞を同定し、機能を詳細に解析する。本研究は新しい予防ワクチンの開発に対して、重要な知見を与えるものであると考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究は、未だ有効な予防ワクチンのないHIV-1感染症において、今までとは異なる新たなコンセプトによってワクチン開発を行うために、感染リスクの高い集団(HIVハイリスク集団)の中でHIV-1曝露後に感染が成立しない人(HESN:HIV-1-exposed seronegative)から、感染成立阻止に寄与していると考えられるHIV-1特異的T細胞を同定することを目的としている。そのために我々は、HIV-1エピトープとして既に報告されている143種類のペプチドから12個のペプチドカクテルを作成し、それらで刺激したPBMC検体を比較的長期間培養した。その後に細胞内サイトカイン染色法によるIFN-γ産生CD8陽性T細胞の検出を試みた。 昨年度までに感染リスクの比較的高いと考えられる100名の非HIV-1感染男性同性愛者(MSM)を解析し、2名の検体からHLA-B*51:01拘束性Pol TI8およびHLA-A*02:06拘束性Pol SV9に特異的なT細胞を同定することに成功している。本年度では、新たに100名の非HIV-1感染MSMの検体を収集し、同様の方法によりHIV-1特異的T細胞の樹立を試みた。その結果、100名中1名からHIV-1特異的T細胞を樹立することに成功した。このT細胞はHLA-B*51:01拘束性Pol TI8特異的T細胞であり、昨年度得られたT細胞と同一の日本人HIV-1感染者において免疫原性が高くかつ非常に強いHIV-1増殖抑制能を有するエピトープ(プロテクティブエピトープ)を認識するものであった。 本年度までの成果により、頻度は少ないものの日本人HESNからHIV-1特異的T細胞を樹立することができることが明らかになり、HIV-1感染者におけるプロテクティブエピトープを認識するT細胞が、HIVハイリスク集団においても感染防御に働いている可能性を示唆した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々は、これまで国立国際医療研究センターSH外来に来院し、研究参加の意思を示した者の中から採血が可能であった200名のHESNの血液検体を収集することができた。また、HIV-1特異的T細胞検出の対象としたペプチドは既報の143種類のHIV-1エピトープであり、我々はそれらを用いて12種類のペプチドカクテルを作成し、PBMCを刺激後長期の培養を行った。その結果頻度は低いものの、これまでに3検体からペプチド特異的IFN-γ産生CD8陽性T細胞を検出することに成功した。今後、得られたHIV-1特異的T細胞のHIV-1感染細胞認識能やHIV-1増殖抑制能等の機能を解析することを検討している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によって、日本人HIV-1ハイリスク集団(HESN)からHLA-B*51:01拘束性Pol TI8およびHLA-A*02:06拘束性Pol SV9に特異的なT細胞を樹立することに成功した。今後、得られたHIV-1特異的T細胞のHIV-1感染細胞認識能やHIV-1増殖抑制能等の機能を解析することを試みる。一方で、HESNのPBMCに含まれるHIV-1特異的T細胞の頻度が予想よりもわずかであったため、再検討やHLAテトラマーおよび様々な細胞表面マーカーで染色し表現型の解析を行うためには、予想よりも多くの血液量が必要であることが明らかになった。今後、HIV-1特異的T細胞が同定された検体について採血量を増やすことを検討しており、HESN由来HIV-1特異的T細胞の表現型の解析を行う予定である。
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