研究課題/領域番号 |
22K08605
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
井坂 雅徳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40336673)
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研究分担者 |
前山 順一 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 主任研究官 (40199641)
立野 一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50311642)
矢木 宏和 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(薬学), 准教授 (70565423)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | A群連鎖球菌 / 糖鎖結合タンパク質 / 免疫回避 / セレクチン / CD162 / インテグリン / マクロファージ / 貪食能 |
研究開始時の研究の概要 |
A群連鎖球菌は、劇症型と呼ばれる敗血症性ショックを引き起こし、それに至る原因は、いまだに解明されていない。この細菌は、表皮と真皮の間に留まり移動し、好中球などの免疫細胞が患部へ浸潤せず働いていないことが先行研究により明らかとなっている。 我々は劇症型株の培養上清から好中球浸潤を抑制する糖タンパク質を新たに見出した。そこで本研究はA群連鎖球菌が分泌する糖タンパク質のセレクチン阻害による免疫回避機構を解明する。この糖タンパク質の機能解析結果より、糖鎖を標的とした抗体治療薬の開発に向けた研究を行い、今後の臨床応用へと展開させていく。
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研究実績の概要 |
本研究はA群連鎖球菌が分泌する糖タンパク質による免疫回避機構を解明しています。細菌などに動物が感染すると、免疫細胞によりその細菌を貪食し排除します。貪食する主役は好中球です。この細胞は、感染部位へ浸潤する際、好中球膜上の糖鎖CD162と血管内皮細胞上の糖鎖結合タンパ ク質セレクチンとの接着と相互作用します。この研究では、A群連鎖球菌が分泌する糖タンパク質がセレクチンを阻害することで浸潤が抑制されていると考えています。前年度は劇症型A群連鎖球菌培養上清に発現する糖タンパク質の精製及びその条件検討を行いました。今年度は、その精製タンパク質のどの部位に糖鎖が結合しているかを詳しく検討しました。また、セレクチンとCD162の結合をin virtoで観察する実験系の構築を検討しました。結果として以下のことが明らかになりました。 ・目的の糖タンパク質は、A群連鎖球菌SF370株の培養上清を80%硫安沈澱、酢酸緩衝液(pH5.0)による透析、陽イオン交換カラム、ゲル濾過カラム処理を施し、単一なタンパク質バンドとして精製出来た事をSDS-PAGEで確認した。 ・精製タンパク質は現在質量分析器により、結合している糖鎖のアミノ酸部位と、結合糖鎖配列を検索中である。 ・糖タンパク質とセレクチンやCD162との結合を観察するために、HEK293細胞でセレクチンとインテグリンのタンパク質発現を実施している。そのために、各タンパク質のインサートを導入したpcDNA3.1プラスミドを構築中である。HEK293細胞はストック保存して使用準備を整えました。また、好中球に相当する細胞としてHL-60 細胞を選択し、この細胞もストックを調整し準備を整えました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度にA群連鎖球菌の劇症型及びゲノム株の培養上清から、糖タンパク質の精製を実施してきた。通常、ブレインハートインヒュージョン液体培地(BHI培地)で培養する。この培養上清から目的タンパク質を精製する段階で共雑タンパク質の確認をSDS-PAGEで実施すると、さまざまなタンパク質が存在することが明らかになっていた。一方、我々が使用しているC-mediumという液体培地で培養および精製を行うと、他の共雑タンパク質の混入が低下した。そして培地のpHの調整により、ほぼ糖タンパク質のみが発現していることが明らかとなった。 この糖タンパク質のどこに糖鎖が結合しているか評価検討するために、現在、質量分析器にかけて糖鎖結合部位ならびに結合糖鎖の配列の確認作業を実施しています。 糖鎖タンパク質が精製されたため、実際に好中球CD162およびセレクチンとの阻害実験を実施するためHEK293細胞にE or Pセレクチン、インテグリンの遺伝子組み換え体を強制発現させる系を構築し、培養細胞などの調整を実施している。各タンパク質の発現が確認出来次第、浸潤阻害実験に取り組みます。
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今後の研究の推進方策 |
現在糖タンパク質の質量分析を実施していますが、本来この質量分析から得られるデータはタンパク質の配列を検索する系である。その系を利用して糖鎖配列を調べようとしているために、プログラムの変更や使用する糖タンパク質の実施量などの調整が必要になっている。簡単に結果が出てこないため、これらの調整をさらに検討する。 糖タンパク質のリガンドをHEK293細胞上に発現させていますが、確実に発現しているか否かを確認しないと系として使えません。今年度はこれらのリガンド発現の確認を実施します。また、HEK293細胞は組換えタンパク質発現には向いていますが、腎臓由来の細胞です。今回の浸潤は血管内皮系のため、HUVEC細胞を用意してこの研究結果を出そうと考えています。そこで、HEK細胞の結果から推測して、HUVEC細胞へ実験系を推移していく予定です。
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