研究課題/領域番号 |
22K08606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
矢野 寿一 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (20374944)
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研究分担者 |
遠藤 史郎 東北医科薬科大学, 医学部, 教授 (40614491)
中野 竜一 奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (80433712)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 肺炎桿菌 / カルバペネム系薬 / カルバペネム耐性 / カルバペネマーゼ / 高病原性 |
研究開始時の研究の概要 |
カルバペネム系薬を分解するカルバペネマーゼは、臨床上、大きな脅威となる。本邦において、肺炎桿菌からはカルバペネマーゼの一種であるIMP-6が主に検出されている。近年、カルバペネマーゼ産生肺炎桿菌のうち、病原性関連遺伝子を有するプラスミド保有株が報告されている。これらによる感染症は、使用する抗菌薬が制限されるのみならず、重症度が高くなることが予想され、今後の動向が危惧されている。本研究では、本邦全域からカルバペネマーゼ産生肺炎桿菌を収集、分子疫学的解析を行い、病原性関連因子を検索すると共に、感染症病態の明確化と新規治療法を提案する。
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研究実績の概要 |
本年度は、奈良県立医科大学附属病院、東北医科薬科大学病院、および株式会社ビーエムエルからさらにカルバペネマーゼ産生Klebsiella pneumoniaeを収集した。まず、それぞれの施設で質量分析装置を用いてKlebsiella pneumoniaeと同定された株のうち、自動機器測定のMICにて、イミペネム 2 μ g/ml以上かつセフメタゾール 64 μg/ml以上、またはメロペネム 2 μg/ml以上の株を対象に収集した。その結果、昨年度に70株収集したが、現在、190株まで収集株を増やすことが出来た。 これらのKlebsiella pneumoniaeを順次解析を進めているが、現在のところ、カルバペネマーゼとしてIMP-6が最多で、続いてIMP-1であり、その他のカルバペネマーゼ(NDM, KPC, VIM, OXA-48)は検出されていない。また、IMP-6保有プラスミドのほとんどはESBLであるCTX-M-2を同時に保有していた。また、IMP-6のみ保有するものや、CTX-M-35やCTX-M-65を保有するものが見られるなど、以前より多様性を呈してきていることが示唆された。接合伝達能については、IMP-6保有株のうち90%以上が伝達され、伝達頻度も-4乗程度とかなり高い頻度であった。 また、高病原性クローンとされるST23, ST65, ST86が現時点で約25%を占めており、高病原性かつカルバペネム耐性という株の増加が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の遅れをおおむね取り戻せたところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在も菌株を収集中であり、さらに株数を増やして解析予定である。現在実施中の薬剤感受性試験、modified CIM法によるカルバペネマーゼ産生確認、接合伝達能の評価、カルバペネマーゼ遺伝子の検索に加え、カルバペネマーゼ遺伝子保有プラスミドのレプリコン型別、PFGE, MLSTによる型別と流行クローンの特定を現在、順次実施中であり、今後も残りの株について実施予定である。
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