研究課題/領域番号 |
22K08611
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
乾 匡範 愛知医科大学, 医学部, 講師 (80443985)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | TLR4 / マクロファージ / 免疫賦活化法 |
研究開始時の研究の概要 |
当研究室で開発された抗TLR4抗体(Sa15-21)が既存のTLRリガンドとは異なる性質の刺激を導入し,マクロファージを潜在的活性化状態に変化させることを発見した。本研究ではTLR4を標的としたマクロファージの性状変化,さらに細胞保護的な効果と免疫賦活効果を同時に導入することのできる分子基盤を解明し,感染症に対する新たな免疫賦活剤としての可能性を評価する。
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研究実績の概要 |
抗TLR4抗体(Sa15-21)はマウス劇症肝炎モデルにおいて,組織ダメージを著しく減弱させるにも関わらず,炎症性サイトカインを急激に上昇させるというユニークな特徴をもつ抗体である。申請者の先行研究によりSa15-21抗体が既存のTLRリガンドとは異なる性質の刺激を導入し,マクロファージを潜在的活性化状態に変化させることを発見した。本研究ではTLR4を標的としたマクロファージの性状変化,さらに細胞保護的な効果と免疫賦活効果を同時に導入することのできる分子基盤を解明し,感染症に対する新たな免疫賦活剤としての可能性を評価することを目指している。昨年度の研究では,Sa15-21での前刺激が骨髄誘導マクロファージにおいてLPS刺激後の炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-aなどの産生を亢進させること,一方で抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生を減弱させることを発見した。またSa15-21抗体での前刺激の有無によるLPS刺激後のシグナル分子の活性化(ERK, p38, JNK, NF-kB)に違いは認められなかった。本年度の研究において,Sa15-21抗体の単独刺激は弱いが持続したシグナル分子の活性化(ERK, p38, JNK, NF-kB)を刺激することをウエスタンブロットやレポーター細胞を用いた実験により明らかにした。さらに,マイクロアレイ解析による網羅的遺伝子発現解析により,Sa15-21抗体の単独刺激は有意に早期に誘導されるNF-kB誘導遺伝子の発現を亢進させること見い出した。このようにSa15-21がマクロファージに持続したシグナルを伝達することにより炎症性サイトカイン発現を亢進させる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の研究では,Sa15-21が骨髄誘導マクロファージにおいてLPS刺激後の炎症性サイトカインであるIL-6やTNF-aなどの産生を亢進させること,一方で抗炎症性サイトカインであるIL-10の産生を減弱させることを発見した。本年度は,マクロファージにおけるシグナル伝達と網羅的な遺伝子発現解析により,Sa15-21が持続したシグナルを伝達することにより炎症性サイトカイン発現を亢進させる可能性を示唆した。次年度では,さらにSa15-21によるTLR4を標的とした免疫賦活効果の応用を目指し,in vivoでの感染モデルを用いたSa15-21の防御効果の検証に取り組む予定である。
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