研究課題/領域番号 |
22K08613
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
村上 圭史 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10335804)
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研究分担者 |
吉岡 大介 川崎医科大学, 医学部, 准教授 (30555131)
藤猪 英樹 慶應義塾大学, 医学部(日吉), 教授 (50356250)
瀬部 真由 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 助教 (60882595)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 緑膿菌 / バイオフィルム / 抗菌薬抵抗性 / トレードオフ / 病原性 / トレードオフ機構 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌感染症において、細菌が活発に病原因子を産生すると急性感染症が惹起されるが、この段階では抗菌薬に対する感受性が高い。一方、バイオフィルムが形成されると、病原因子の産生は低下するものの、抗菌薬抵抗性を獲得するため、抗菌薬の十分な効果が得られず慢性感染症となる。このように、病原因子の産生と抗菌薬抵抗性はトレードオフの関係となるものの、その機構は不明である。本研究では、抗菌薬抵抗性メカニズムを明らかにすることを目的として、病原因子産生/抗菌薬抵抗性のトレードオフ機構について解析する予定である。
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研究実績の概要 |
細菌感染症において、急性期では細菌が活発に病原因子を産生するものの、抗菌薬に対する感受性が高い。一方、バイオフィルムが形成される慢性期では、病原因子の産生は低下するものの、抗菌薬抵抗性を獲得するため、抗菌薬の十分な効果が得られない。抗菌薬抵抗性とは、遺伝子の変異を伴う耐性菌とは異なり、遺伝子発現の異なる細胞が一時的に抗菌薬の殺菌作用から免れる現象であり、単細胞生物である細菌があたかも多細胞生物のように振る舞い、集団の中で一部のものが生き残る非常に高度な生存戦略である。このように、病原因子の産生と抗菌薬抵抗性はトレードオフの関係となるものの、そのメカニズムは不明である。 病原因子の産生については、Quorum sensing systemが、重要な役割を果たすことが知られており、バイオフィルム形成にも重要な役割を果たしている。しかし、抗菌薬抵抗性におけるQuorum sensing systemの役割はそれほど大きいものではない。我々は、緑膿菌において、抗菌薬抵抗性に関与するオペロンが、病原因子の産生にも関わっている可能性を見出した。本研究では、このオペロンが病原因子産生/抗菌薬抵抗性のトレードオフを制御している、という仮説を立て、検証を行い、その制御機構を解明することを目的としている。 今年度は、ペグバイオフィルム法やコロニーバイオフィルム法を用いて、バイオフィルム中でこれらの遺伝子の発現を解析し、バイオフィルム形成において、発現が誘導されることを見出した。また、プラスミドを用いて、この遺伝子の強発現株を作成し、性状を確認したところ、強発現株では抗菌薬抵抗性が上昇し、増殖を詳細に検討したところ、細菌の増殖が一時的に抑制される現象を見出した。バイオフィルム中では細菌の増殖が抑制さることから、本遺伝子のトレードオフ機構への関与が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
ペグバイオフィルム法やコロニーバイオフィルム法において、バイオフィルム中での遺伝子発現の解析を行っているが、データが安定しない部分があるため、条件設定などの見直しに時間がかかっているため。
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今後の研究の推進方策 |
現在までは、ペグバイオフィルムとコロニーバイオフィルムの2つの方法で遺伝子発現の解析を行ってきた。今後は最も生態環境に近いと感が得られているフローセルバイオフィルムシステム系を確立させ、遺伝子発現を検討する予定である。フローセルバイオフィルムシステムの中で、チューブバイオフィルムシステムを採用し、RT-PCRによる、経時的な遺伝子発現の詳細な解析を行う予定である。
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