研究課題/領域番号 |
22K08617
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54030:感染症内科学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
高塚 翔吾 国立感染症研究所, 真菌部, 主任研究官 (90609398)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
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キーワード | Influenza / virus / COVID-19 / SARS-CoV-2 / Aspergillus / 真菌症 / IAPA / CAPA / aspergillus / influenza / covid-19 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、真菌感染症の中でもアスペルギルスを介した真菌症による死因が最も高くなっている。さらに現代のコロナ禍において、アスペルギルス症の中でもウイルス感染後に起こる二次性のアスペルギルス症で命を落とす事例が数多く報告されるようになった。その中で私はマウスを使った 2009 年の新型インフルエンザウイルス株の感染系においてアスペルギルスの二次感染モデルを確立し病態解析を行ってきた。本研究課題では重症化を引き起こす菌側の病原因子の探索及び宿主側で免疫系を過剰に亢進させてしまう責任細胞の探索を行う。本研究課題により得られる新規知見が今後の感染症医療の分野に貢献できるものと考える。
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研究実績の概要 |
本研究課題は、ウイルス感染後に起こる続発性の真菌症により重篤な症状を呈するメカニズムについて菌側の病原因子と宿主応答を中心に解析を進めるものである。インフルエンザウイルス感染後に続発する肺アスペルギルス症(Influenza-associated pulmonary aspergillosis : IAPA)においては初期に急激な炎症応答が誘導され、急性呼吸不全等の重篤な症状につながると考えられる。令和4年度はこの炎症応答を亢進させる菌側の病原成分について探索した。まずIAPA 群とAspergillusの単独感染群で肺胞洗浄液(BALF)の成分を解析したところ、Aspergillus由来のβグルカン(細胞壁成分の一種)濃度が肺内で上昇し高濃度のまま維持されていることがわかった。これはインフルエンザウイルス感染後のマウスにAspergillus由来の主な細胞壁成分(αグルカン/βグルカン/キチン/ガラクトマンナン)を投与した際にも、βグルカン投与群のみで重篤な症状が再現された。Aspergillus由来のβグルカンは主に宿主側のDECTIN1という受容体に結合し炎症性応答を亢進させることが知られている。そのためin vitro でDECTIN1欠損マウスから分取した肺胞マクロファージにIAPAのBALFを添加したところ野生型肺胞マクロファージからは多量の炎症性サイトカインの酸性が認められたのに対しDECTIN1欠損肺胞マクロファージからほとんど検出されなかった。また並行して生体内から取り出した肺胞マクロファージに精製したαグルカン/βグルカン/キチン/ガラクトマンナンを添加した実験でもβグルカン投与群でのみ炎症性サイトカインの多量な産生が認められた。よってAspergillus由来のβグルカンがIAPAの炎症応答を亢進させる主要な病原因子の一つであることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでにIAPAのマウスモデル構築し、重症化する表現系を評価してきた中で、令和4年度はその重症化にかかわる菌側の主要な病原因子を特定することができた。このことは本研究課題における3部構成の研究計画の内、初年度に達成すべき第一の課題を十分な形で達成できたものと考える。また第3の課題として計画しているCOVID-19に続発する肺アスペルギルス症(CAPA)のマウスモデル系に関しても現在条件検討を重ね系の構築に向けた作業を進めている。これらから総合的に判断すると当初の予定通りに計画が進んでいるものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
IAPAにおける菌側の病原因子が明らかになってきたことで今後は宿主応答における責任因子と責任細胞について研究を進めたいと考えている。具体的にはこれまで宿主側の責任因子の候補として捉えているIFNγやIL-10の特徴的な産生についてより深く解析を進め、菌由来のβグルカンとの関係性を探っていきたい。またIFNγやIL-10を産生する細胞がどのような細胞かということについてもFlow Cytometry やELISA法を使用して解析を進めたいと考えている。
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