研究課題/領域番号 |
22K08627
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
馬越 洋宜 九州大学, 大学病院, 特別教員 (40741278)
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研究分担者 |
西本 紘嗣郎 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (00365363)
和泉 自泰 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (70622166)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アルドステロン / 副腎 / 内分泌 / 高血圧 / 原発性アルドステロン症 / シングルセル解析 / 空間トランスクリプトーム解析 / 機械学習 / メタボローム |
研究開始時の研究の概要 |
原発性アルドステロン症は、その成因によりアルドステロン産生腺腫と副腎過形成に大きく分類される。両者は治療方針および重症度が異なるため病型の鑑別は重要であり、原発性アルドステロン症におけるさらなる治療成績の向上には早期診断・治療を可能とする医療基盤の確立が求められている。本研究では機械学習を用いて、原発性アルドステロン症においてステロイド産生の多様性・不均一性はなぜ生じるのか、そしてどのような病態生理学的意義を有するかを解明する。さらに、血液検体のステロイドプロファイリングと腫瘍組織の統合オミクス解析の結果を踏まえて、原発性アルドステロン症における個別化医療基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
原発性アルドステロン症(primary aldosteronism: PA)は、代表的な二次性高血圧の成因の1つであり、疾患頻度に加えて臓器障害頻度も高率である。PAは、その成因によりアルドステロン産生腺腫と副腎過形成に大きく分類される。両者は治療方針および重症度が大きく異なるため病型の鑑別は重要であり、PAにおけるさらなる治療成績の向上には早期診断・治療を可能とする医療基盤の確立が求められている。最近、研究代表者らは機械学習を用いたPA病型診断予測モデルの開発に成功し、さらに独自に開発した網羅的ステロイドミクス解析法を用いて健常人における副腎皮質ホルモンの個人差を明らかにした。また、イメージング質量顕微鏡を用いてアルドステロン産生腺腫におけるステロイド産生の多様性・不均一性を明らかにした。本研究では機械学習を用いて、PAにおいてステロイド産生の多様性・不均一性はなぜ生じるのか、そしてどのような病態生理学的意義を有するかを解明する。初年度は正常副腎皮質を対象とした、シングルセルRNAシーケンス法を実施し、アルドステロン産生腺腫の前駆病変とされるアルドステロン産生細胞クラスターの遺伝子発現特性を1細胞単位で明らかにし、従来の概念と異なり前駆段階であるアルドステロン産生腺腫においてもステロイド合成酵素の不均一性が認められ、一部の球状層細胞がアルドステロン産生細胞クラスターに遷移することを証明した。さらに、現在注目されている「説明可能なAI」の機械学習モデル解釈手法の一つであるSHAP(SHapley Additive exPlanations)を用いて、APA術後治癒に関わる因子の寄与度の差異を個人間で明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
10xChromium Xを研究室に導入したため、インハウスでシングルセル解析のパイプラインの構築に成功した。さらに、本機器は生細胞のみならず、凍結組織、FFPE組織を対象としたシングルセルRNAシーケンスが可能であり、臨床サンプルの活用の幅が広がった。また、取得されたシーケンスデータも下流解析に耐えうる質が得られた。さらに、空間トランスクリプトーム解析も対応する複数のサンプルで実施済みであり、同一症例におけるシングルセル・空間トランスクリプトームのオミクス解析を進めている。以上より、当初の計画以上の進展が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に当初の計画以上にシーケンスデータが取得可能であったため、次年度は解析環境の増強のためスーパーコンビューターを導入し、スケーラビリティーの向上を行う方針とする。
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