研究課題/領域番号 |
22K08635
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
塚本 和久 帝京大学, 医学部, 教授 (20251233)
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研究分担者 |
宇野 健司 帝京大学, 医学部, 准教授 (50596632)
蔵野 信 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60621745)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | PCSK7 / 脂質代謝 / 糖代謝 |
研究開始時の研究の概要 |
申請者らが日本人GWAS研究にて中性脂肪関連遺伝子として見出したPCSK7が、その後の検討により、中性脂肪代謝のみならず、糖代謝にも関係することが明らかとなった。本研究では、培養細胞およびモデル動物を用いて、PCSK7の脂質代謝および糖代謝を制御するメカニズムを一般的な生化学的・遺伝子工学的手法を駆使して解析するとともに、オミクス解析および臓器間神経ネットワーク機構解析も取り入れた網羅的・統合的な検討を行う。本研究はPCSK7の作用機序の解明にとどまらず、相互に関連性を有する糖代謝および脂質代謝全体を制御する機構の解明を目指すものであり、代謝疾患に対する新たな治療法開発につながると考えられる。
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研究実績の概要 |
令和5年度は、PCSK7 lox/lox-alb Creマウス(肝臓特異的)を確立した後に、タモキシフェン2mgの一回投与でPCSK7発現量が25%まで低下することを確認し、この遺伝子改変マウスを用いた血糖値への検討を行った。しかし、タモキシフェン投与3日後・7日後・14日後にて測定した血糖値には変化を認めず、腹腔内グルコース負荷試験(iPGTT)にてもコントロールマウスと比較して血糖値変動に有意差は認めなかった。その後、PCSK7 lox/lox-alb Creマウスのコロニーを増やしつつ、①タモキシフェン投与量や投与回数を様々に変更、②食餌を正常食と高脂肪食の2パターンで検討、③iPGTTでの糖負荷量を細かく調整、するなど、条件を変更しながら検討を行ったが、現時点では血糖値およびiPGTTでの血糖値に於いて明らかな一定の傾向は認めなかった。 一方、令和4年度までの検討にて、アデノウイルスベクターを用いたPCSK7過剰発現により血糖値低下を認めたKKAyマウスおよび脂肪食負荷C57BL/6マウスの肝臓検体を用いて、メタボローム解析を行った。PCSK7過剰発現により、両マウスに共通して有意に増加する代謝物として、TCAサイクルの代謝物であるクエン酸やイソクエン酸と2-アミノエタノールを認めており、一方有意に低下する代謝物としてグルコース、ガラクトース、フルクトース、アラビノースを認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
令和4年度の検討においてアデノウイルスベクターを用いたPCSK7過剰発現マウスにおける血糖値の低下を認めていたため、ミラーイメージとしてPCSK7発現抑制モデル(PCSK7 lox/lox-alb Creマウス)での血糖値上昇を期待し、令和5年度はこのモデルマウスでのタモキシフェン量や食餌内容の変更など条件を振っての検討を行った。しかし残念ながら、研究にはつきものではあるが、一貫性のある結果は得られず、当初の研究予定がやや遅れることとなった。しかし、PCSK7過剰発現モデルを用いたメタボロミクス解析では興味深い結果を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度もPCSK7 lox/lox-alb Creマウスの検討は可能な限り継続するが、動物実験の中心はアデノウイルスベクターを用いたC57BL/6マウスにおけるPCSK7過剰発現/発現抑制での検討・解析とする予定である。また、令和5年度のメタボローム解析の再現性を確認するとともに、代謝物の変化をもたらす候補となる酵素(ATPクエン酸リアーゼなど)の変化についても検討し、さらにリピドミクス解析も行う予定である。細胞実験でも同様のメタボローム解析とリピドミクス解析を行い、脂質・糖質代謝を同時に制御するPCSK7の機能解明を進めていく。
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