研究課題/領域番号 |
22K08637
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
亀山 俊樹 藤田医科大学, 医学部, 准教授 (60298544)
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研究分担者 |
長崎 弘 藤田医科大学, 医学部, 教授 (30420384)
齋藤 加奈子 (田崎 加奈子 / 齋藤加奈子) 藤田医科大学, 医学部, 講師 (50746906)
小谷 侑 藤田医科大学, 医学部, 講師 (60644622)
河田 美穂 藤田医科大学, 医学部, 助教 (90761601)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | SFEBq法 / Notchシグナル / ES細胞 / 直接分化誘導 / AVP / SFEBq法 / 分散培養 / オルガノイド / RNA-seq / ダイレクト・リプログラミング / 視床下部 / 発生 / ダイレクトリプログラミング / 転写制御因子 |
研究開始時の研究の概要 |
2010年にVierbuchenらは神経細胞特異的な転写因子Brn2, Ascl1, Myt1lを共発現させることで、マウス胎児線維芽細胞を神経細胞へ直接分化転換させることに成功した。それ以降、様々な神経細胞を直接分化誘導する事が可能になった。本研究ではこのダイレクト・リプログラミング法により特定の視床下部神経内分泌細胞を創出することを研究目標とした。この最終目標を達成するために本研究では以下のの二本柱を軸に研究を展開する。 Project1:各種視床下部神経発生の最終分化時に細胞運命を決定する因子はなにか? Project2特定の視床下部神経細胞を創出するための因子の最適な組合せはなにか?
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研究実績の概要 |
昨年度SFEBq法による視床下部神経細胞分化の際の遺伝子発現変化をRNA-seqで解析した。前駆細胞(PRE)と、2D培養下(2D)および3D培養下(3D)で分化成熟させた時のトランスクリプトームを比較し、バソプレシン神経(AVP)・オキシトシン神経(OXT)分化に関与する既知の遺伝子群や、Notch関連遺伝子群に発現変動が見られることを明らかにした。今年度は、AVP神経分化に関与する因子の特定を行った。 まず、AVP神経分化に関与する既知の因子の中で2D培養下で発現低下の著しかったOtp,Pou3f2をSFEBq法による視床下部神経前駆細胞の分散培養開始直後からAAVベクターにより強制発現を行った。その結果、意外なことにほとんどAVPの発現上昇は見られなかった。 次に、視床下部神経前駆細胞の分散培養開始直後からDAPTによるNotchシグナルの抑制を行ったところ、若干のAVPの発現上昇を認めた。そこで、Notchシグナル因子の中で特に2Dにおいて顕著に発現低下の認められたAscl1およびNeuroD1をOtp,Pou3f2と同様の方法で過剰発現した。その結果、Ascl1を過剰発現した時のみ有意にAVPの発現上昇が確認できた。少なくともAscl1が特異的にSFEBq法による視床下部AVP神経細胞分化に重要な因子であることが示された。 他方、視床下部神経ダイレクト・リプログラミング法の開発も継続して進めている。昨年度ES細胞からAVP神経、OXT神経の分化を誘導する因子をつきとめたが、今年度はさらにそれをRT-PCRでも検証した。さらに、特筆すべき事として、遺伝子導入後30日で神経刺激に応じてバソプレシンを分泌することも確認でき、成熟したAVP神経を分化させる事ができると証明できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
SFEBq法による視床下部AVP神経分化誘導に関連して、昨年度行ったRNA-seq解析の結果を元に、Notchシグナルの影響に着目し、Ascl1が特異的に重要な因子であることを示すことができた。また、ダイレクト・リプログラミングの基礎段階として、特定の転写因子の組合せによりES細胞からバソプレシンを分泌することが出来る成熟AVP神経細胞分化を誘導することができた。
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今後の研究の推進方策 |
特定の複数の転写因子の組合わせをマウスES細胞に強制発現することにより、神経刺激に応じてバソプレシンを分泌する成熟したAVP神経の分化誘導に成功した。今後はマウス線維芽細胞、グリア細胞(AVP-GFP/OXT-RFPダブルTgラット脳由来)、さらに重要と考えているのはヒト皮膚線維芽細胞からこの因子を用いて視床下部AVP神経ダイレクトリプログラミングを誘導することができるか検証する。 また、生理的な成熟AVP神経が分化したかを検証するため、SCIDマウスへ正所性移植を行い正しく下垂体後葉へ軸索投射を行うか、所属研究室で維持している中枢性尿崩症ラットへ移植し症状の改善効果が見られるかを検証する。 さらに、現在確立している因子の組合せでは少なくともAVP神経とOXT神経共に分化する。さらに一部グリア様の細胞も存在する。シングルセル解析を行うことで、どの様な細胞が産み出されるのかを特定していきたい。その際の発現変動遺伝子を詳細に解析することで、AVP神経のみまたはOXT神経のみを産生する遺伝子セットを突き止めたい。
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