研究課題/領域番号 |
22K08639
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 国立研究開発法人国立国際医療研究センター |
研究代表者 |
長沼 孝雄 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, その他部局等, 上級研究員 (40466462)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 長鎖ノンコーディングRNA / 転写制御 / 肝臓 / 糖新生 / グルカゴンシグナル / 血糖調節 |
研究開始時の研究の概要 |
グルカゴン誘導性lncRNAの1つであるLnc-GI1のin vivoにおける糖新生調節への役割を明らかにし、またそのメカニズムを分子生物学的解析によって解明する。さらに、Lnc-GI1のヒトオーソログを同定し、その糖新生への役割を検証することで本研究の目的を達成する。 本研究によって、Lnc-GI1の糖新生調節における役割が明確になり、そのメカニズムとしてLnc-GI1は糖新生系酵素遺伝子の転写誘導に必須な転写因子HNF4Aと結合し、その遺伝子プロモーター領域への結合を促進させることが解明される。さらに、Lnc-GI1の作用の抑制が糖尿病の高血糖の治療に繋がる可能性が示される。
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研究実績の概要 |
本研究は、グルカゴン誘導性長鎖ノンコーディング(lnc)RNAの糖代謝調節における役割とそのメカニズムを解明することを目的としている。 2023年度は、Lnc-GI1が肝糖新生を促進する分子メカニズムの解明を試みた。lncRNAの多くがタンパク質と結合することで機能するが、先行研究からLnc-GI1結合タンパク質の1つとして糖新生系酵素遺伝子転写を活性化する転写因子HNF4αを同定している。そこで、Lnc-GI1とHNF4αとの結合について検討を行った。試験管内で合成したビオチン標識Lnc-GI1 RNAを用いたプルダウン法によりHNF4αが共沈することが示された。また、逆にHNF4αに対する特異抗体を用いたRNA免疫沈降法によりLnc-GI1の共沈が示され、その共沈具合は肝細胞がグルカゴン処理されたときにより増加した。これらの結果から、Lnc-GI1とHNF4αが結合していることが明らかとなった。 これまでの結果から、Lnc-GI1はHNF4αと結合することで、この転写因子の糖新生系酵素遺伝子プロモーター領域へのリクルートメントに寄与すると推察された。そこで、Lnc-GI1の機能欠損(ノックアウト)または機能獲得(強発現)したときのHNF4αの糖新生系酵素遺伝子プロモーター領域へのリクルートメントに対する効果をHNF4αの特異抗体を用いたクロマチン免疫沈降法により検討した。Lnc-GI1のノックアウトにより、HNF4αの糖新生系酵素遺伝子プロモーター領域へのリクルートメントが減弱し、一方Lnc-GI1の強発現によってHNF4αの糖新生系酵素遺伝子プロモーター領域へのリクルートメントが増強した。これらの結果から、Lnc-GI1がHNF4αの糖新生系酵素遺伝子プロモーター領域へのリクルートメントを促進し、これら遺伝子の転写を活性化に寄与することが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度も当初の計画書通りに研究が進展し、Lnc-GI1がHNF4αと結合すること、またその結合がグルカゴン処理された肝細胞でより増強されることを明らかにした。 さらに、Lnc-GI1はHNF4αと結合することで、HNF4αの糖新生系酵素遺伝子プロモーター領域へのリクルートメントを促進し、これら遺伝子の転写を活性化に寄与することも明らかにすることができた。以上のことからも、おおむね順調に進展しているという判断に至った。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に即して研究を推進していく予定である。2024年度については、Lnc-GIのヒトオーソログhLnc-GIを同定し、その糖新生に関する機能を明らかにしていく予定である。最終年度ということもあり、これまでの成果をまとめ上げ、論文投稿できるような準備もしていく予定である。
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