研究課題/領域番号 |
22K08642
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
金子 慶三 東北大学, 大学病院, 講師 (60546141)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | 糖新生 |
研究開始時の研究の概要 |
研究目的は腎糖新生の生体における役割を解明することである。生体が血糖値を維持するためにはアミノ酸や脂質からグルコースを産生する糖新生が必要であり、肝臓がその主要な役割を担うと考えられている。一方、腎臓でも糖新生が行われており、絶食が長期にわたると、全身糖産生に対する寄与度は肝から腎へシフトすることが知られている。しかし、肝臓や腎臓など複数の臓器で糖新生が行われる理由や、腎糖新生の生体における役割は明らかではない。そこで本研究では、主要な糖新生酵素を腎臓で欠損させ、腎のみならず種々の臓器の表現型を解析することで、腎糖新生の全身代謝における役割を直接解明する。
|
研究実績の概要 |
研究目的は生体における腎糖新生の役割を解明することである。腎糖新生は絶食中に全身の糖産生に対する割合が増加することがしられている。そこで、主要な糖新生酵素であるPEPCKを誘導性に腎臓選択的に欠損させたマウス(以下腎-PEPCK KOマウス)を作製し絶食中における表現型の解析を行った。 腎-PEPCK KOマウスを24時間絶食させたところ、対照マウスに比べて血糖値には変化を認めなかったが、腎臓のグルコース含有量は低下していた。そこで、PEPCKを介する糖新生の基質である乳酸を負荷したところ、腎-PEPCK KOマウスでは対照マウスに比べて有意に高い血糖値を呈した。この結果により、他の主要な糖新生臓器である肝臓の代償により、腎-PEPCK KOマウスの血糖値が維持されているこが示唆された。 PEPCKは、ミトコンドリアTCAサイクル内の代謝物の細胞質への移動を促進させることにより、グルコース産生を増加させることがしられている。そこで、腎-PEPCK KOマウスの腎臓内のTCAサイクルの中間代謝物を測定したところ、対照マウスに比べてそれらが著しく上昇していることがわかり、腎におけるTCAサイクルの流れが停滞していることが示唆された。加えて腎臓ATP含有量が腎-PEPCK KOマウスで低下していた。これらの結果は、腎臓のPEPCKを介した糖新生が全身の糖代謝のみならず、腎臓内TCAサイクルの機能に関わることを示している。 更に、対照マウスでは絶食に伴い尿量や尿中ナトリウムが低下したが、腎-PEPCK KOマウスでは逆に増加し、脱水をきたしていることがわかった。このことは、腎糖新生が絶食中の腎の代謝を制御して水分保持に関与していることを示唆している。 本研究は、これまでの結果を発展させることにより、腎糖新生の生体における意義のさらなる解明につながることが期待できる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎糖新生が絶食中の腎機能を維持する役割を担っていることを明らかにできたため。ただ、詳細なメカニズムに関してはまだ詰めきれていない部分がある。
|
今後の研究の推進方策 |
腎-PEPCK KOマウスの腎臓内エネルギー代謝や水分・電解質バランスが異常をきたすメカニズムについて解析する。これにより、腎糖新生が全身の代謝恒常性へ果たす役割の解明を目指す。
|