研究課題/領域番号 |
22K08652
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
山根 俊介 京都大学, 医学研究科, 客員研究員 (90582156)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | インクレチン分泌 / GLP-1 / CACNA2D1 |
研究開始時の研究の概要 |
単離GLP-1 産生腸管内分泌細胞(L 細胞)の発現プロファイルの解析結果から、電位依存性カルシウムイオンチャネルのサブユニットの中でもL 細胞において特に高い発現を示すα2δ-1 サブユニット(CACNA2D1) を介したGLP-1 分泌制御機構の解明を目的とする。具体的には、1.腸管内分泌細胞株を用いたCACNA2D1 発現抑制、過剰発現によるGLP-1 分泌への影響の解析、2.腸管特異的CACNA2D1 ノックアウトマウスにおけるGLP-1 分泌やL 細胞の数・分布の変化の評価、3.糖尿病・肥満マウスを用いて、L 細胞におけるCACNA2D1 の発現と病態との関連についての解析を行う。
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研究実績の概要 |
腸管内分泌細胞株およびマウスを用いて、CACNA2D1サブユニットのGLP-1分泌における重要性を検討した。GLP-1産生細胞におけるCACNA2D1の発現を確認するため、GFPでGLP-1産生細胞が標識されたGcg-GFPノックインマウス腸管の免疫組織染色を行ったところ、GFP陽性細胞(GLP-1産生細胞)の約50%でCACNA2D1染色陽性を認めた。また腸管内分泌細胞株STC-1(マウス由来), NCI-H716(ヒト由来) のいずれにおいても、PCRおよび免疫染色でCACNA2D1の発現を確認した。 GLP-1分泌におけるCACNA2D1の関与をNCI-H716を用いて検討した。グルコース刺激によるNCI-H716からのGLP-1分泌は、CACNA2D1の特異的阻害剤であるガバペンチン存在下で容量依存性に抑制された。またグルコース刺激によるNCI-H716細胞内カルシウム濃度上昇は、ガバペンチン存在下で容量依存性に抑制された。生体でのGLP-1分泌におけるCACNA2D1の関与を評価するため、野生型マウスに対してガバペンチンの経口投与実験を行った。グルコース経口摂取時GLP-1分泌は、ガバペンチンの単回投与によって抑制される傾向はあるものの有意差を認めなかった。またガバペンチンの7日間連日投与後のグルコース経口摂取後GLP-1分泌もvehicle投与群と差を認めなかった。一方ガバペンチン腹腔内投与によりグルコース経口摂取時GLP-1分泌は有意に抑制された。ガバペンチンのbioavailabilityから、経口投与では腸管内分泌細胞におけるCACNA2D1阻害作用は限定的と考えられた。腸上皮特異的CACNA2D1を作出し、グルコース経口摂取後GLP-1分泌を評価したところ、野生型マウスに比べ有意に低値であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していたとおり、細胞株およびマウスを用いたCACNA2D1サブユニットのGLP-1分泌における重要性の検討を遂行できている。また腸管および産生細胞株でのCACNA2D1サブユニットの発現についても再現性をもって確認できている。予定していた腸管上皮特異的CACNA2D1ノックアウトマウスの作出にも成功し、結果が得られている。論文として成果をまとめ、投稿予定である。当初の実験計画に照らして、概ね順調に進展しているものと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
Cacna2d1遺伝子のエクソン6がloxp配列ではさみこまれたCacna2d1tm1.1Gfngマウス (ジャクソン研究所から購入) とvillin-creマウス (研究室で使用実績あり)、との交配により、腸管特異的CACNA2D1欠損マウスの作出に成功、実験も順調に遂行できている。必要な結果が得られ次第、論文として成果をまとめ、公表する予定である。
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