研究課題/領域番号 |
22K08655
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
中津 祐介 広島大学, 医系科学研究科(医), 准教授 (20452584)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | Pin1 / NASH / PPAR / 分子シャペロン / 非アルコール性脂肪性肝炎 / 肥満 / ヘパトカイン |
研究開始時の研究の概要 |
プロリン異性化酵素Pin1を介したNASH・肥満発症機構について肝細胞と肝星細胞での役割に焦点を当て、解析を進めていく。初代肝細胞・肝星細胞及び細胞特異的Pin1 KOマウスを用いてPin1を介した肝脂質蓄積・炎症・線維化の機序を明らかにする。また、プロテオーム解析を用いてPin1により発現制御を受けるヘパトカインを同定し、全身の代謝調節に与える影響を調べる。さらに複数のPin1阻害剤をNASHモデルマウスに投与し、その効果を分析することで、NASH治療薬としての可能性を検討する。
|
研究実績の概要 |
プロリン異性化酵素Pin1は、標的蛋白のpSer/pThr-Pro配列に結合し、プロリンのシスートランス異性化を行うことにより、その機能を調節している。本研究では、Pin1を介した非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)発症機構を明らかにすることを目的として研究に着手し、以下のことを明らかにした。 ①肝細胞特異的Pin1 KOマウスを作成し、NASH誘発食である高脂肪・高コレステロール食 (HFHC)を負荷した。意外なことに、KOマウスは、体重増加がWTマウスと比較して軽度であり、これと一致して肝重量や脂肪重量もKOマウスで低値であった。 ②HFHC食負荷後、グルコース負荷試験やインスリン負荷試験を行い、耐糖能を検討したところ、KOマウスで良好な値を示した。また、インスリンを負荷した後、肝・筋・脂肪を摘出し、Aktのリン酸化をウエスタンブロットで測定したところ、KOマウスの肝臓は、WTと比べてAKtのリン酸化が強く認められた。一方、筋や脂肪組織では、差が認められなかった。 ③HFHC食負荷後に、肝臓を摘出し、組織切片を観察したところ、肝脂肪蓄積や肝線維化は、KOマウスで軽度であった。これと一致して、コラーゲン等の各種線維化マーカーは、KOマウスの肝臓で低値であった。 ④KOマウスで、NASH発症が抑制されるメカニズムを検討するために、体重差が認められないHFHC食負荷6週間の時点で、肝臓を摘出し、RNA-seqを行った。GO解析の結果、Pin1 KOマウスの肝臓では、PPAR経路や分子シャペロンの発現量が亢進していた。 ⑤293T細胞において、過剰発現系によるPin1とPPAR alphaの結合を検討したところ、両者の結合が認められた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
肝細胞特異的Pin1 KOマウスがNASH発症に対して抵抗性を示すことを見出した。また、RNA-seqの結果から、Pin1欠損によりPPAR経路や分子シャペロンの発現亢進が、その抑制メカニズムに関与していると考えられたから。
|
今後の研究の推進方策 |
RNA-seqの結果を基に、Pin1とPPARa、分子シャペロンとの関係について進めていく。 特に、転写因子であるPPAR alpha, XBP1, ATF6等がPin1と結合するか、結合する場合、どのような機能制御をうけるかを中心に検討する。また、分子シャペロンを過剰発現させることで、肝脂肪蓄積や肝細胞死が影響を受けるかを検討する。
|