研究課題/領域番号 |
22K08678
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
島田 朗 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (60206167)
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研究分担者 |
及川 洋一 埼玉医科大学, 医学部, 准教授 (30296561)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 糖尿病 / 細胞性免疫 / 外分泌酵素 / HLA |
研究開始時の研究の概要 |
KPDにおいては、HLA DRB1*08:03を有する場合、膵外分泌組織に対する自己免疫応答が存在し、その病態形成に寄与するのではないか、という仮説を立てた。 今回、KPDにおいて、HLA DRB1*08:03の有無による膵内外分泌機能、ならびに、膵内外分泌抗原特異的細胞性免疫能の評価を多数例で検討し、その病態解明を図ることを目的とする。さらに、各種膵内外分泌関連抗原のペプチドを合成し、それらのペプチドへの反応性から、本病態に寄与するT細胞エピトープの同定を図る。
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研究実績の概要 |
肥満があるにも関わらず、特別な誘因なく、ケトーシスになる”ketosis-prone diabetes(以下、KPD)”という概念は、米国糖尿病学会でも”atypical diabetes”とされ、いわゆる分類不能例に該当する。KPDの50%は、誘因なく糖尿病ケトアシドーシスを起こし、糖尿病ケトアシドーシスの20%は、KPDにより起こるとされており、極めて重要な病態である。 これまでに我々は、膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼのいずれか)について、KPDでは23.8%が高値であり、1型糖尿病における23.2%とほぼ同レベルであることを見出している(通常の2型糖尿病では5.9%)。それを踏まえて、外分泌組織に関連する抗原である、ラクトフェリンに着目し、その抗体を測定したところ、KPD、1型糖尿病、の両者の間では抗体価に差がなかった一方、対照である通常の2型糖尿病に比べ、双方とも有意に高いことを見出した。そこで、それに関与する遺伝背景を検討するため、HLA型を検討したところ、KPDでは日本人1型糖尿病の疾患感受性であるDRB1*04:05、DRB1*09:01のアリル頻度は健常人と差はなかったが、DRB1*09:01を有する場合の方が、ラクトフェリン抗体価が高いことを見出した。さらに、日本人1型糖尿病の疾患抵抗性のHLA型であるDRB1*15:01およびDRB1*15:02を有する場合は、逆にラクトフェリン抗体価が低いことを見出した。このような関係は、1型糖尿病においては見られなかった。現在、他の標的抗原候補であるCA-2についても検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述のように、これまでに我々は、膵外分泌酵素(アミラーゼ、リパーゼ、エラスターゼのいずれか)異常について、KPDでは、1型糖尿病とほぼ同じ割合で高値を呈することを見出しているが、それを踏まえて、外分泌組織に関連する抗原である、ラクトフェリンに着目し、その抗体を測定したところ、KPD、1型糖尿病、の両者の間では抗体価に差がなかった一方、対照である通常の2型糖尿病に比べ、双方とも有意に高いことを見出した。さらに、KPDでは日本人1型糖尿病の疾患感受性であるDRB1*04:05、DRB1*09:01のアリル頻度は健常人と差はなかったが、DRB1*09:01を有する場合の方が、ラクトフェリン抗体価が高いこと、また、日本人1型糖尿病の疾患抵抗性のHLA型であるDRB1*15:01およびDRB1*15:02を有する場合、逆にラクトフェリン抗体価が低いことを見出し、この現象がKPDに特異的であることを確認した。現在、他の標的抗原候補であるCA-2についても類似の内容について検討中であるが、本検討がまだできていないことから、やや進行が遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、自己抗体の検討を行ってきたが、今後は、細胞性免疫についても検討する必要がある。細胞性免疫能、特に抗原特異的T細胞反応性の評価については、これを専任で行う常勤の実験補助者もいるが、これまでに行なってきたインスリンペプチドを用いた検討のみならず、他の膵臓関連抗原、すなわち、膵外分泌抗原を用いた検討についても合わせて行う計画である。また、糖尿病患者のデータべース、血液などの検体管 理システムもすでに確立しており、別の研究補助者が常時管理しているが、研究補助者の増員などによる効率化を行い、さらに件数を増やせる体制を構築していく予定である。
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