研究課題/領域番号 |
22K08681
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
上野 隆 順天堂大学, 大学院医学研究科, 客員教授 (10053373)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | オートリソソーム / リソソーム / β‐アラニン / アミノ酸 / 能動輸送 / ピリミジン分解 / 共輸送 / 対向輸送 / ジヒドロウラシルデヒドロゲナーゼ / ウレイドプロピオナ-ゼ / β-アラニン / オートファジー / アミノ酸代謝 / アミノ酸輸送 |
研究開始時の研究の概要 |
β-アラニンはピリミジン異化でウラシルから2段階の酵素反応で生成される。しかし、培養細胞のメディウムにウラシルを加えて24時間を経ても、細胞に存在していたβ-アラニンの20%程度が増えるに過ぎなかった。オートリソソームに含まれるβ-アラニンのモル数はオートリソソームに存在する全アミノ酸総モル数の半分に達することから、β-アラニン合成がリソソームで起こると考えた。β-アラニン合成を担うDPYDとUPB1の2つの酵素がともに選択的オートファジー基質であることに注目して、オートリソソームに取り込まれて分解されたRNAから精製したウラシルを材料としてβ-アラニンが作られる可能性を検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、ラットやマウスの肝臓の(オート)リソソームにタンパク質の構成成分ではないβ‐アラニンが多く含まれることに注目し、その理由や貯留の機構を明らかにすることである。β‐アラニンはRNAの構成塩基であるウラシルが2段階の酵素反応(ジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ[DPYD]およびウレイドプロピオナーゼ[UPAse])を経て生成する。このウラシル異化代謝の結果生成されたβ‐アラニンがリソソームに輸送される機構を想定して、DPYDやUPAseを発言する多くの培養細胞を使って調べたが、オートリソソームへの有意な貯留を証明することはできなかった。そこで、代謝的基盤については一旦離れ、そもそもリソソームへβ‐アラニンが輸送されて取り込まれる輸送系が存在するかを調べた。肝臓由来のBRL細胞やHepG2細胞を用い、温和に細胞をホモゲナイズしたホモジェネートから分画遠心したリソソーム画分を使って14C-β‐アラニンの取り込みを測定する条件を検討した結果、弱いながらもβ‐アラニンがATP依存にリソソームに取り込まれる活性を測定することができ、さらにその取り込み活性は非必須アミノ酸で増えることを見出した。非必須アミノ酸の中でアスパラギンが単独で一番大きな活性化を行うことが分かってきた。さらに、培養細胞やマウス肝臓から高純度に精製した(オート)リソソームを用いてアスパラギンとβ‐アラニンの共輸送の有無や輸送活性に関わるpH依存性などを行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
非タンパク性アミノ酸であるβ‐アラニンがなぜリソソームに多いのかというパラドックスに対して、ピリミジン分解系との関係が一向に明らかにされないでいることは理解に苦しむ。現在までにリソソームへのβ‐アラニン輸送活性が証明されつつあることとβ‐アラニンの生理的役割(リソソームへ貯留されることの意義)の理解にはまだまだ未知の事情があると思われ、その疑問に少しでも迫れるよう努力しなければならない。マウスやラットの餌に遊離のβ‐アラニンが多量に含まれることを見出し、栄養的に供給されたβ‐アラニンがリソソームに輸送される機構を明らかにする方向で打開を探っている。さらに、今後の方策で述べるが、リソソームで新規にβ‐アラニンが生成する機構なども考慮すべきである。
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今後の研究の推進方策 |
リソソームにβ‐アラニンが能動輸送されることをさらに検討する中で、外部から供給されるβ‐アラニンが肝臓のリソソームに輸送される機構に加え、ピリミジン分解に関わる2つの酵素(DPYDとUPase)がオートファジーの選択的基質として(オート)リソソームに運ばれる点にも注目してその解析準備に取り掛かっている。リボソームがオートファジーで分解されることはよく知られており、リボソームRNAから分解されたウラシルがDPYDとUPaseの2段階反応でβ‐アラニンを生成すれば、リソソームでのβ‐アラニン合成系というユニークな発見に結びつく。そのためにcapillary-electrophoresis mass spectrometry (CE-MS)による微量β‐アラニンの定量を試みている。すでに予備実験でCE-MSを用いてβ‐アラニンを分離定量する条件を確立できた。
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