研究課題/領域番号 |
22K08683
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分54040:代謝および内分泌学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
前田 康博 藤田医科大学, オープンファシリティセンター, 准教授 (60275146)
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研究分担者 |
伊藤 哲哉 藤田医科大学, 医学部, 教授 (80336677)
中島 葉子 藤田医科大学, 医学部, 講師 (70598309)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 高アンモニア血症 / メチルマロン酸血症 / プロピオン酸血症 / アセチルグルタミン酸 / アセチルグルタミン酸合成酵素 / 有機酸代謝異常 / N-アセチルグルタミン酸 / 有機酸代謝異常症 |
研究開始時の研究の概要 |
有機酸代謝異常症は、マススクリーニングにより発症前診断が可能となった。しかしその重症度は幅があり、重症例では早期に治療を開始しても、急性発作、発育・発達障害をきたす。急性発作時には代謝性アシドーシス、高アンモニア血症などをきたし、生命・神経学的予後に影響する。慢性期には食事療法、薬物療法により代謝動態の安定を図るが、高アンモニア血症はコントロールが困難な例が散在する。 本研究では、重症度に即した適切な治療・栄養療法を見いだすため、患者検体を用いて代謝経路に関わる代謝産物の分析、関連酵素の活性測定を行い、有機酸代謝異常症における二次的生化学的異常である高アンモニア血症の病態を解明する。
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研究実績の概要 |
プロピオン酸血症(PA)やメチルマロン酸血症(MMA)は、急性発作時において代謝性アシドーシスを発症すると同時に高アンモニア血症をきたし、患者の予後に大きく影響する。高アンモニア血症は、これら疾患において蓄積するプロピオニル-CoAやメチルマロニル-CoAが、N-アセチルグルタミン酸合成酵素(NAGS)の活性を抑制する事で発症すると考えられている。しかし、PA, MMAにおける高アンモニア血症の発症機序についての詳細は解明されていない点が多く、NAGSの阻害以外の機序が関与していることも予想される。本研究ではPAおよびMMAにおける二次的生化学的異常である高アンモニア血症の病態を代謝物変動や酵素活性から解明し、適切な薬の選択、適切な栄養療法を開発することで、重症例の予後を改善することを目的とした。 アンモニア生成に関わる代謝物の一斉分析をおこなうため、LC/MS/MSを利用した分析法の開発をおこなった。具体的にはNAGSの活性抑制によって減少すると予測されるN-アセチルグルタミン酸(NAG)、アンモニア生成に関わるグルタミン、グルタミン酸、尿素サイクルに関わるカルバミルリン酸から生成するカルバミルアスパラギン酸およびオロト酸などである。 これら代謝物の一斉分析法を開発後、PAおよびMMA患者の血中代謝物を測定したところ、グルタミンは低下傾向を示した。尿素サイクル異常症における高アンモニア血症ではグルタミンの上昇を伴うため、PA, MMAにおける高アンモニア血症の発症機序はNAGSの抑制によらないことが示唆された。一方で、NAGS阻害で低下すると考えられているNAGについては、血中濃度が予想外に薄かったため、今回の分析法において変化を確認するに至らなかった。今後、分析法の改善をおこないNAGの測定値を明らかにし、NAGSの活性値などから重症例の予後改善に応用する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LC/MS/MSによる代謝物の一斉分析法を開発し、高アンモニア血症に関わると考えられる代謝物の一斉分析をおこなったが、目的とした物質の一つであるN-アセチルグルタミン酸の血中濃度が予測以上に薄く今回開発した方法では定量できなかった。現在その測定法の改善に取り組んでいるため、当初予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
今回開発したLC/MS/MSによる代謝物一斉分析において測定できなかった物質は、血中からの抽出法、誘導体化法などを検討し、測定法を改善し定量をおこなう。また、高アンモニア血症に関連する代謝物の変化についても検討する。 グルタミンの生成が低下したことからグルタミン合成酵素の活性が低下したことが予想されるため、酵素の活性を測定し、酵素阻害が起こっているかを検討する。 これらから、プロピオン酸血症、メチルマロン酸血症における高アンモニア血症の発症機序を考察する。
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