研究課題/領域番号 |
22K08687
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
後藤 了一 北海道大学, 大学病院, 助教 (10645287)
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研究分担者 |
財津 雅昭 北海道大学, 医学研究院, 客員研究員 (20768981)
渡辺 正明 北海道大学, 医学研究院, 特任講師 (40789848)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 非アルコール性脂肪肝炎 / 肝移植 / 生体ドナー / 再発 / ヒト化マウス |
研究開始時の研究の概要 |
非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は肝移植の原因疾患として増加しており、肝移植後の再発率も高率である。栄養・運動療法で改善しない難治例も多く、発症機序に他の肝疾患とは異なる免疫の関与が示唆されている。本研究では患者臨床検体による免疫システムをマウスへ構築するヒト化マウスモデルを用いて、NASH患者の免疫がNASH発症に関わる可能性、肝移植自体が発症抑制につながる可能性、また移植後の適切な免疫抑制療法、高脂質療法、また新たな試みとしての細胞療法の効果について検討する。
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研究実績の概要 |
当該年度は非アルコール性脂肪肝炎(NASH)肝硬変で肝移植を受けた症例の特徴を明らかにするため、当院で実施した成人肝移植症例257例中NASH肝硬変への肝移植12例を、同期間のウィルス性肝硬変 90例、アルコール性肝硬変 16例と比較検討した。NASH肝移植症例は女性が多く、BMIが高く、術前入院日数が長いことが判明した。また術後はBMIが高く、CTでの肝脾比が低く、高脂血症を多く認めた。一方、移植後生存率は各群間で差は無く、NASHの移植成績は比較的良好であった。移植後の非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)再発は移植後1年以上フォロー11例の検討で9例(81.8%)がNAFLD再発と診断され、3例(27.2%)が肝細胞風船様変化、線維化進行からNASH再発と診断した。NASH再発の3例中2例が肝不全死した。しかし移植後NASH再発の予測因子は同定できず、今後免疫の関与を含めた更なる検討が必要と考えている。一方、健康成人、特に生体肝移植ドナーの術後脂肪肝発生リスクについてはよく分かっていない。最近のNAFLD増加から生体ドナーの安全担保のためにも脂肪肝の発生リスク、影響を明らかにすることは重要である。212例の生体肝移植ドナーのうち移植後5.3±4.2年の観察期間に30例(14.2%)が脂肪肝の発症を認め、累積発生率は5年12.1%、10年22.1%、15年27.7%であった。うち18例は重篤な脂肪肝で、30%以上が肥満、高脂血症、糖尿病などを合併した。脂肪肝の予測因子は男性、小児レシピエントへのドナー、術前の高BMIであった。この結果を第108回日本消化器病学会、第40回日本肝移植学会、第58回日本移植学会で報告し、Annals of Gastroenterological surgeryに論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト化マウスへの検討が遅れている。理由としてコロナ禍もあり脳死ドナー発生数が減少し、NASH肝硬変症例への肝移植数が増加していない点、外来も制限されたことなどが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
移植後NAFLD再発頻度、NASH再発頻度とリスクなど明らかになったが、再発予測因子は臨床のパラメーターでは同定できなかった。免疫の関与について更に検討するため、ヒト化マウスへの免疫細胞の移入とその関与を検討する。
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