研究課題/領域番号 |
22K08695
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
大坪 竜太 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (80570043)
|
研究分担者 |
中島 正洋 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50284683)
田中 彩 長崎大学, 病院(医学系), 助教 (50893244)
永安 武 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (80284686)
松本 恵 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (90404269)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
|
キーワード | Semi-dry dot-blot / 乳癌 / リンパ節転移 / 術前薬物療法 / サイトケラチン |
研究開始時の研究の概要 |
本キットは上皮性悪性腫瘍である癌に含まれるCK19蛋白に対する抗体を用いてLN転移を検出する新規診断法で、入割したLNの洗浄液で診断するため病理診断を併用でき、正確且つ安価である。これまで2mmを超えるマクロLN転移鑑別を目的とした非PST例を対象とした臨床性能試験を実施した。一方、PST後に腫瘍が残存した症例に薬物療法を加える事で予後改善が期待でき、正確なLN転移診断は治療方針決定に必須である。本キットは正確なLN転移診断と病理医の業務負荷軽減に寄与できるが、PSTによる癌細胞の破壊やCK19蛋白の変性が本キットに及ぼす影響は不明であり、PST例で本キットを評価し適応拡大を検討する。
|
研究実績の概要 |
2022年5月1日から2023年4月30日までに当院腫瘍外科と移植・消化器外科で術前薬物療法を行い、その後腋窩リンパ節郭清またはセンチネルリンパ節生検の腋窩手術を含めた根治手術を行った31症例、35腋窩(4例の両側乳癌症例あり)、合計61リンパ節が本研究に登録された。そのうち10リンパ節が術前の画像検査または細胞診検査で転移陽性と判断されたため腋窩リンパ節郭清術が行われ、51リンパ節が術前の画像または細胞診検査で転移陰性と判断されたためセンチネルリンパ節生検が行われた。 永久病理組織学的診断では61リンパ節中4個(6.6%)で2.0mmを超えるマクロ転移を認め、61リンパ節中2個(3.3%)で0.2ー2.0mmのマイクロ転移を認め、61リンパ節中55個(90.1%)で転移を認めなかった。4個のマクロ転移における自動解析機を用いたSDBキット検査での吸光度は242.3mABS、103.3mABS、192.5mABS、223.1mABSと全てマクロ転移・非マクロ転移鑑別のカットオフ値11.9mABSを超え、2個のマクロ転移では6.5mABS、5.9mABSとカットオフ値11.9mABSを下回り、55個全ての転移陰性リンパ節ではカットオフ値11.9mABS未満であった。 そのため、自動解析機を用いたSDBキット検査と永久病理組織学的検査の比較において、マクロ転移・非マクロ転移鑑別におけるSDBキット検査の感度・特異度・正確度は全て100%となり、非常に良好な成績を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究計画では3年間で60症例、120リンパ節以上を目標としていたが、1年で約半数の症例を集積できた。近年ではHER2陽性やトリプルネガティブ乳癌に術前薬物療法を行うも浸潤病変が残存する症例には術後補助薬物療法の適応があり予後を改善することが期待できるため、術前薬物療法の適応症例が増えていることが予想される。ただし、HER2陽性またはトリプルネガティブ乳癌が化学療法が奏功するため、マクロ転移が残存しているリンパ節が4個しか認められなかった。そのため、より良いエビデンスの構築のために研究計画の症例以上の症例集積が必要である。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も術前薬物療法を行った症例を集積し、SDB検査と永久病理組織学的診断によるマクロ転移鑑別を比較する。このペースで3年間症例を集積できたと仮定すると、90症例、180リンパ節程度のマクロ転移リンパ節を集積できると思われる。より信頼性の高い感度や陽性的中率の評価と共にLN内リンパ球とバイオマーカーに関する付随的研究の対象症例を増やしたい。
|