研究課題/領域番号 |
22K08699
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
中西 雅子 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60437382)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 酸性微小環境 / リンパ節転移 / リンパ管内皮細胞 / 癌微小環境 / 酸感受性受容体 |
研究開始時の研究の概要 |
癌組織は周囲の正常組織に比較して酸性に傾いている。この酸性環境は、癌細胞に作用してその増殖を促進させることや、浸潤能を増加させて癌の悪性化に関与することが知られている。リンパ節転移は、癌患者の予後を大きく左右する因子の一つであるが、その転移進展メカニズムと酸性環境との関連性は不明な点が多い。そこで本研究では、リンパ節転移において重要な役割を果たすリンパ管内皮細胞に着目し、酸性環境による遺伝子発現の変化とそれによる細胞機能の変化について解析する。さらに、リンパ節転移の動物モデルを用い、酸性環境を標的とした転移抑制効果について検討する。
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研究実績の概要 |
癌組織は周囲の正常組織に比べて酸性に傾いている。本研究では、癌のリンパ節転移における酸性微小環境の役割を検討する目的で、リンパ管内皮細胞の機能変化に着目した。 これまで、ヒト皮膚リンパ管内皮細胞(HDLEC)を用いたin vitroの検討から、酸性環境により接着分子VCAM-1の発現が誘導されること、またその経路として酸感受性受容体GPR4が重要であることを示した。そこで、令和4年度はマウス悪性黒色腫細胞株B16F10-LM6を用いて、VCAM-1とGPR4を介したリンパ管内皮細胞と癌細胞との相互作用について解析した。B16F10-LM6は、VCAM-1リガンドであるVLA-4を発現しており、HDLECへの接着を示したが、HDLECに酸刺激を行うことでこの接着が有意に促進された。さらに、VCAM-1抗体の処置やHDLECにおけるGPR4発現を抑制することで、B16F10-LM6の接着が低下することが分かった。 そこでB16F10-LM6を用いたリンパ節転移モデルを作成し、VCAM-1抗体ならびにGPR4阻害剤の投与による転移への影響をin vivoで検討した。マウス足底部へB16F10-LM6を接種すると、膝窩リンパ節ならびに鼠径リンパ節への転移が生じたが、抗VCAM-1抗体ならびにGPR4阻害剤の投与はこれらリンパ節への転移を減少させた。これらの結果は、癌の酸性微小環境がリンパ管内皮細胞上に発現している酸感受性受容体GPR4を介して接着分子の発現を変化させ、癌細胞との接着性に影響することでリンパ節転移の成立に促進的に働いていることを示唆している。 今後はさらに、HDLECにおいてGPR4を過剰発現させた際の機能変化や、他の接着分子との相互作用について検討を加え、酸性微小環境の役割を総合的に考察する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに進んでいる。現在までに得られた成果をまとめ、投稿準備中である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題を進めるなかで、接着分子の一つであるThy-1についても、酸性微小環境により発現誘導されること、また癌細胞におけるThy-1リガンド Integrin avb3の発現が酸刺激による促進されることが明らかとなった。そこで、令和4年度の続きであるGPR4の過剰発現系の検討に加え、リンパ節転移の成立過程におけるThy-1の役割についてもin vivoで解析する予定である。
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