研究課題/領域番号 |
22K08706
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
畑山 直之 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (80534792)
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研究分担者 |
内藤 宗和 愛知医科大学, 医学部, 教授 (10384984)
伊藤 清顕 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50551420)
横田 紘季 名城大学, 理工学部, 助教 (50815876)
秦 浩一郎 京都大学, 医学研究科, 研究員 (90523118)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2025年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | ラット / 肝臓 / ウルトラファインバブル / 一酸化炭素 / 酸素 / 虚血再灌流障害 |
研究開始時の研究の概要 |
生理活性ガス(CO、NO、H2S)がもつ細胞保護作用の医療への応用が期待されているが、気体という取り扱いの難しさから、その利用が限られているのが現状である。ウルトラファインバブル(UFB)は、液体に安定的に存在できる気泡(ガス)であり、液体として様々なガスを送達することが可能である。本研究は、生理活性ガスをUFB化し、それらを含む灌流保存液によって移植臓器を体外治療・再生することを目指す。また、これまで医療への応用が限られていた生理活性ガスをUFBという新たなガス送達技術によって、医療応用への展開を拓きたい。
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研究実績の概要 |
本研究は,一酸化炭素(CO)および酸素(O2)を含有したUFB臓器保存液を作成し,移植臓器に対するUFBの有効性を検証する。令和5年度は,CO+O2-UFB(UFB群)にて24時間保存したラット肝臓における虚血再灌流障害の保護効果について、さらに詳細な解析を行った。比較として、UFBを含有していないUW保存液にて24時間保存したUW群と,保存せずに摘出後すぐにIPRLを実施したNormal群を対照群とした。 ラットから摘出した肝臓をCO+O2-UFBを含有した保存液にて4℃で24時間保存した。その後IPRLにより肝機能(門脈灌流圧PVP,AST,ALT,LDH,胆汁産生量,酸素消費率)を測定し,組織を採取した。HE染色による形態評価を行った。UFB群のPVPは、UW群よりも一貫して有意に低く、Normal群のPVPと同様に維持された。胆汁産生量においても同様の傾向が見られた。IPRL灌流液中の肝酵素とLDHを経時的に測定し、Normal群、UW 群、および UFB 群で比較した。IPRLの60分時点では、UFB群のASTおよびLDHレベルは正常群と有意な差はなかったが、UW 群はNormal群より高かった。 IPRLの120分時点においても、AST、ALT、およびLDH値は同様の傾向を示した。IPRL後の肝組織の観察(HE染色)では、 Normal群とUW+UFB群では組織構造は正常であったが、UW群では中心静脈周囲の空胞化組織と類洞の障害が確認された。 CO+O2-UFBを含有した保存液にて24時間保存したラット肝臓は、肝機能や組織構造が摘出直後の肝臓同様に保たれることが示された。この結果はCO+O2-UFBが、臓器の代謝を抑え、また再灌流障害が軽減することを示し、ECD臓器に対する効果が期待できる結果であったと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット肝臓保存にてCO+O2-UFBが虚血再灌流障害の軽減効果を発揮することがわかった。また対照群との比較により、既存の保存法よりも有意に肝機能を維持し、再灌流障害を軽減することがわかった。これにより次年度以降のDCD肝への実験へ着実に進んでいける。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は,CO+O2-UFBを用いたラット肝臓保存にさらに解析を加え、UFBの虚血再還流障害軽減の機序を検討していく。免疫化学染色による細胞死・過酸化ストレスの定量を行い,Real-Time RT-PCRなどによる分子生物学的解析を加える。そして心停止させたラットドナー肝臓へCO・O2-UFBによる灌流を行い、検討を進めていく予定である。
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