研究課題/領域番号 |
22K08723
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
清水 朋一 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (60307593)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 腎移植 / 拒絶反応 / バイオマーカー / 病理 |
研究開始時の研究の概要 |
移植腎拒絶反応は多彩な免疫細胞が複雑に絡み合って起こると考えられている。本研究では、最新の多重免疫染色法CODEXを用いて、1つの腎生検サンプル上で40種類の細胞マーカーを一度に解析する。得られたデータをコンピューター解析することで、拒絶反応組織内における浸潤免疫細胞の同定、空間的ネットワークの指数化を行い、移植腎拒絶反応の新しいリスク因子を明らかにする。
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研究実績の概要 |
移植腎拒絶反応は多種多様な免疫細胞が関与する複雑な病態であり、その病態を理解するためには空間的な免疫細胞ネットワークの解明が必要である。近年、生検検体のトランスクリプトーム解析の結果から、ナチュラルキラー(NK)細胞やマクロファージなど従来の光学顕微鏡所見ではその関与が明らかでなかった細胞群の拒絶反応への関与が示唆されている。しかしながら、これらの細胞を同定するには複数の免疫マーカー染色が必要であり、従来の免疫染色では容易ではない。CODEX (Co-Detection by indexing) は、抗体を一本鎖DNAバーコードで標識することにより、40種類以上の免疫バイオマーカーの同時染色が可能となる最先端の免疫多重染色技術である。本研究では、CODEX解析により拒絶反応に関連する細胞群を同定することとした。 研究初年度として、解析対象を決定するための症例検討を行った。2011年から2016年に当院で腎移植を受けた523症例を検証したところ、移植後1年以内に急性腎拒絶反応と診断されたのは78例であった。このうち、エピソード生検で診断されたもの、長期期間のフォローアップデータが取得可能な43症例を研究対象とすることとした。病理標本の再評価を行い、現在の臨床病理診断との乖離の少ない2014年から2016年に行われた24症例を初回の解析対象とすることとした。24症例中、12例はT細胞関連型拒絶反応(TCMR)、12症例が抗体関連型拒絶反応(ABMR)であった。観察期間中に移植腎機能喪失となった症例はないが、腎生着と強く相関すると言われるde novoドナー特異的抗体が出現した症例が12例、慢性ABMR(CABMR)への進展を認めた症例が9例であり、病理所見、拒絶反応後の長期予後とCODEX解析結果の相関を検証するのに適切な対象であるといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の時点では初年度にCODEX解析を開始する予定であったが、適切な症例を選定するために病理標本の再評価を行ったために年度内の解析ができなかった。その間、標本のマウント法に技術を要するため、その検証とテストを繰り返した。また、CODEX解析をおこなう米国Enable Medicine社とのディスカッションがCOVID19パンデミックの影響で遅れた。しかしながら、適切な解析対象、および解析対象病変の設定は完了し、共同研究社との十分な意見交換が完了している。次年度より速やかに解析が開始可能である。
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今後の研究の推進方策 |
CODEX解析を行う24症例の組織を実際に薄切、カバースリップへのマウントを行う。サンプルをEnable Medicine社に輸送し、CODEX染色、解析を行う。得られたデータのコンピューター解析を米国共同研究社と協力して行い、レトロスペクティブな臨床経過とCODEX空間因子の相関関係を追う。
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