研究課題/領域番号 |
22K08741
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
古賀 寛之 順天堂大学, 大学院医学研究科, 先任准教授 (30468574)
|
研究分担者 |
山高 篤行 順天堂大学, 医学部, 教授 (40200703)
須田 一人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60784725)
中村 哲也 順天堂大学, 大学院医学研究科, 特任教授 (70265809)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | 短腸症候群 / ヒト小児腸管オルガノイド / 人工小腸組織 / Scaffold / 免疫不全マウス / 人工小腸 / オルガノイド / 移植治療 |
研究開始時の研究の概要 |
小児期の多彩な腸疾患に起因する広範小腸切除により短腸症候群となる症例は、栄養吸収障害のほか中心静脈栄養依存による腸管不全合併肝障害のために致死的となりうる。近年、オルガノイド培養を用いた再生医療研究の中でも、細胞接着足場組織となるScaffoldと組み合わせて作成するtissue-engineered small intestine(TESI)が注目を集める。しかし、ヒト小腸オルガノイドTESIを生体内へ移植させ腸管機能向上への作用を検討した報告はない。本研究では、応募者が確立した小児小腸オルガノイド培養技術を基にTESIを作成し、短腸症候群マウスへ生着させて腸管機能向上への有効性を検証する。
|
研究実績の概要 |
小児期の多様な腸疾患に起因する広範小腸切除により短腸症候群となる症例は、栄養吸収障害のほか中心静脈栄養依存による腸管不全合併肝障害のために致死的となりうる。近年、オルガノイド培養を用いた再生医療研究の中でも、細胞接着足場組織となるScaffoldと組み合わせて作成するtissue-engineered small intestineへの期待が集まっている。ヒト特に小児患者の小腸オルガノイドtissue-engineered small intestineを生体内へ移植させ腸管機能向上への作用を詳細に検討した報告はこれまでに乏しいことから、本研究では応募者が確立した小児小腸オルガノイド培養技術と新規にScaffold作成技術を基にtissue-engineered small intestineを作成し、短腸症候群マウスへ生着させて腸管機能向上への有効性を検証することを目的としていた。しかし、昨年度はScaffoldを用いて安定したtissue-engineered small intestineの作成が困難であったことから、腸管組織を脱細胞化し、足場とする技術を有する本講座の研究協力者と協同することとした。 改めて、本研究では①ヒト新生児・乳児小腸オルガノイドとマウス脱細胞化小腸組織を用いたtissue-engineered small intestineの確立、②マウス短腸症候群モデルへのtissue-engineered small intestine移植による生命予後改善作用の検討、に分けて計画を進行させることとした。 今年度は、マウス腸管に対する脱細胞化技術の条件検討・手技確立を図った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、TESI作成のための足場組織としてのマテリアル準備について大きく方法を変更した。すなわち、マウス小腸組織を用いた脱細胞化技術の樹立を進めるべく、7-9週齢雄マウスの約3cmおよび6cmの空腸・回腸組織を扱った。長さの異なる組織それぞれについて、4% Sodium Dodecyl SulfateおよびDNaseによる作用時間や濃度について適切な条件を検討した。脱細胞処理の効率を、HE組織染色による脱核化所見とDNA抽出キットによる残存DNA量の定量化で評価した。また、脱細胞化の後に残存している細胞外基質を評価すべく、コラーゲン線維をトリクロームマッソン染色で検出した。かつ、現在ラミニンやコラーゲンの異なる種類についてELISAやウェスタンブロットで定量化している。 TESI作成に必要な足場となるマテリアル作成に難渋し、方向性を変えて脱細胞化技術の樹立に取り組んできたこと、また安定したTESI作成は確立されておらず、それらの短腸症候群マウスへの移植実験実験にとりかかれていないため、進捗状況区分としては「やや遅れている」とした。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度は、足場としての脱細胞化組織の作成を進めており、昨年度までにヒト小児小腸上皮オルガノイド培養の技術は安定化させてきたことから、2024年度は、脱細胞化したマウス腸管組織を足場としたヒト小児小腸上皮オルガノイド移植によるTESI作成を進める。また、グラフトとしてのオルガノイド細胞はこれまでの症例の分について継続して冷凍保存してきているため、再度培養に用いることで早急に大量の症例分の細胞集団を準備可能である。安定した移植手技を確立できたら、当初の予定どおり組織解析を行って空腸・回腸どちらを用いたオルガノイド細胞由来のTESIなのかによって生じる差異を観察する。また、足場である脱細胞化腸管組織が空腸または回腸由来であるかによっても異なる結果を示すかも、重要な観点として解析を進める。 具体的に、腸上皮特性の評価: 絨毛高・陰窩深度・杯細胞・パネート細胞・神経内分泌細胞・Na+/H+交換輸送体アイソフォーム・水チャネル分子をHE染色による形態評価およびアルシアンブルー染色、各分子特異的マーカーの免疫染色にて、細胞数や分布を解析する。続いて、NSGマウスで短腸症候群モデルを作成した個体に対してのTESI移植実験を進めていく。
|