研究課題/領域番号 |
22K08742
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
|
研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡邉 稔彦 東海大学, 医学部, 教授 (50306734)
|
研究分担者 |
玉木 哲朗 東海大学, 医学部, 教授 (10217177)
藤村 匠 独立行政法人国立病院機構埼玉病院(臨床研究部), 診療部, 小児外科部長 (80573443)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
|
キーワード | ヒルシュスプルング病 / ヒルシュスプルング病類縁疾患 / 再生医療 / 骨格筋由来多能性幹細胞 / 腸管神経再生 / 消化管蠕動運動不全症 / 消化管蠕動運動機能再生 / 蠕動運動不全 / 小腸機能不全 / 多能性幹細胞 / 骨格筋由来 / 機能再生 / 消化管運動不全 / 幹細胞移植 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
短腸症候群や腸管の蠕動運動障害を呈して、小腸機能不全に陥った患児は、長期間の中心 静脈栄養に依存し肝不全が進行した場合には、標準的な治療方針はない。 小腸機能不全に対しても多様な臓器・組織特異的な成熟細胞へ分化する能力を備えた幹細胞を用いた再生医療が期待されている。 様々な細胞ソースの選択肢がある中で、近年 骨格筋由来幹細胞による神経再生が注目されており、我々独自の骨格筋由来の幹細胞を移植して腸管神経系ネットワークの再構築による消化管蠕動運動機能を改善させることができれば,目の前にいる十分に経口摂取できない患児の難病克服につながると考える。
|
研究実績の概要 |
1.モデル作成:VACを用いて化学的に腸管神経系にダメージを与えるヒルシュスプルング病モデルは、繰り返しトレーニングして安定した品質のモデルマウスの作成が可能となり、また術後の体重や便量などの計測からも消化管運動不全として矛盾ないモデルを再現できた。 2.免疫組織化学染色:免疫染色でもVACを当てた部分の腸管には神経節細胞の消失を認めていることが確認できた。モデルマウスの染色に関しては各免疫染色抗体で腸管神経の消失を認められていることからこれに関してもモデルマウスとして矛盾ない結果である。また、GFP-Tgマウスより採取した骨格筋由来多能性幹細胞を無神経節領域に移植し、神経領域と一致すると思われる箇所にGFPの蛍光を認めており、移植細胞の生着が得られている所見と思われ、現在繰り返し実験を行い再現性の確認を行っている段階である。 3.幹細胞の採取と移植手技:幹細胞に関しても骨格筋から採取する工程において安定した手技で細胞採取が可能となった。GFP-Tgマウスより採取した骨格筋由来多能性幹細胞を自作の細径ガラス幹による局所注射する方法も慣れてきており無神経節領域に移植することができている。 4.その他:灌流固定、フルクトース置換、凍結標本作成等といったさまざまな工程に関しても、トレーニングを反復して安定して行うことが可能となった。今後研究を進めていく上での研究工程の必須項目に関しては問題なく安定してできる自信がついた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究室のラボでの動物飼育法、機器の使用法、また研究協力者の医師との人間関係などの研究環境に慣れてきたため、さらに研究を力強く遂行していく基盤が整った。今後はin vivoでの移植細胞の生着の確認実験を進め、骨格筋由来多能性幹細胞が腸管蠕動運動不全の機能を再生していることを示したい。また、我々が作成している薬剤性ヒルシュスプルング病モデルマウスはグリア細胞も消失するという特徴がある。GFPの蛍光が神経節細胞領域外にも認めていることがあり、GFAP等での染色にてこれがグリア細胞であることが証明できれば骨格筋由来多能性幹細胞での腸管自体の再生も可能になるのではないかとの興味深い仮説も立てている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は、ヒルシュスプルング病モデルマウスに骨格筋由来多能性幹細胞を移植した腸管において、神経節細胞および神経ネットワークが再生されていることを免疫染色法などの手法で確認を進めていく。さらに腸管機能や腸管蠕動運動に関して、機能的な解析を進めたい。これを足掛かりとして「後天性」のヒルシュスプルング病類縁疾患モデルマウスにおいても、同様に神経再生が可能であるかを試みたいと考えている。
|