研究課題/領域番号 |
22K08759
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55010:外科学一般および小児外科学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
潮平 知佳 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50325833)
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研究分担者 |
野口 洋文 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50378733)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 人工間葉系幹細胞 / iTS-M / 肺線維症 / 組織特異的幹細胞 / 脂肪由来幹細胞 / 抗線維化 / 細胞移植治療 / 人工間葉系幹細胞(iTS-M) |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、iPS細胞作製技術を応用して作製した、ヒト人工間葉系幹細胞(hiTS-M細胞)を用いて、肺線維症モデルマウスに対する治療効果を検討することを目的とする。我々の研究室では、人工組織特異的幹細胞(iTS細胞)を各臓器組織から作成することに成功しており、本研究ではiTS-M細胞のin vivoでの効果を評価するため、肺線維症モデルマウスに対する治療効果を検討する。なお、本研究は先行研究で得られた成果を発展させた内容となっている。
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研究実績の概要 |
間質性肺炎は様々な原因で生じ、特に特発性肺線維症(Idiopathic pulmonary fibrosis IPF)は慢性かつ進行性に肺の線維化が生じていく予後不良な疾患である。治療にはステロイドや免疫抑制剤、近年開発されたニンテダニブやピルフェニドンといった抗線維化薬が開発されたが、薬剤の効果は限定的で、肺移植以外の根本的で有効な治療手段が未だ確立されていない。しかしながら、我が国での臓器移植医療分野の最大の問題点はドナー不足であり、この問題を解消する手段の確立は非常に有意義であるとともに重要である。近年、骨髄間葉系幹細胞や脂肪由来間葉系幹細胞を肺線維症モデルマウスに投与することにより、症状を改善したという報告がなされるようになっている。脳死・心停止ドナーの少ない日本において、間葉系幹細胞による肺線維症の治療は期待の持てる治療法であるといえる。一方、肺線維症の治療のためには若い細胞を使用する方が効果的であるとの報告(Takuya K.et al. Sci.Rep.2017)があり、かつ間葉系幹細胞の継代数には限界があることから、治療に必要な継代回数の少ない細胞を大量に得ることは困難である。我々は、自己複製能を失った脂肪由来間葉系幹細胞に自律複製型RNAを用いて遺伝子導入をすることによりiTS-M細胞を樹立し、自己増幅能を回復し更に15継代まで寿命を延長することを可能にした(Miyagi-Shiohira C. et al. Int. J. Mol. Sci 2018 [IF 4.6] 本研究で使用するhiTS-M細胞は、継代数が少なく若いドナー由来のヒト脂肪由来間葉系幹細胞(hADSCs)と同様の機能・性質(表面マーカー、分化能、マイクロアレイ解析、メチレーション解析)を維持しており、肺線維症に対する治療効果が期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
進捗状況 ①ブレオマイシン(BがLM)投与により肺線維症モデルマウスの作製を行う。BLMを充填させたAlzetpumpはマウス背面肩甲骨の後部に皮下移植する。ポンプ内のBLMは7日間かけて局所毛細血管により全身に投与される。BLM投与後10、20日目に肺摘出を行い、肺の変化、線維化を、HE染色もしくはMasson’s trichrome染色して組織形態や繊維変化の状態を評価する。 ②BLMの投与方法を気管支鏡を使用して直接肺へと投与し肺線維症モデルマウスの作製を行う。この方法によると急性期の肺線維症モデルマウスと、薬剤の量により慢性期の肺線維症のモデルマウスの作製が可能となる。移植用人工間葉系幹細胞(iTS-M細胞)の作製モデルマウスの作製と同時に、肺線維症モデルマウスに移植するためのiTS-M細胞を自律複製型RNAを用いて、染色体を傷つけることなく人工間葉系幹細胞(iTSM細胞)の作製を行った。本技術を応用すれば治療に必要な若い間葉系幹細胞と同じ機能を持った細胞を容易に多量に得られ、治療効果が大いに期待できる。 また、動物実験施設の台風災害によるトラブルで施設の実験室が使用できない期間があり、その間動物実験が行えなかったため、使用するマウスの頭数が減数した。しかし、動物実験以外の移植細胞の培養や、細胞胴体を生体内で観察するための標識する作業などを進めており、概ね順調に進行している。
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今後の研究の推進方策 |
間質性肺炎の急性増悪初期には血中SP-Aが上昇し、少し遅れてKL-6やSP-Dが上昇してきて増悪後10日目にピークに達するため、肺の摘出と同時に採血し得られる血清量または、BALF(肺胞洗浄液を採取)を行い、KL-6およびSP-A, Dを測定、肺線維症の指標とする。また引き続きBLM投与方法と投与量による肺線維症の経過および体重および生存率を測定する。また、作製した肺線維症モデルマウスの尾静脈より同系マウスiTS-M細胞を移植し、治療効果を確認する。肺の変化は、HE染色、Masson’s trichrome染色を行い、Ashcroft scoreで評価を行う。血中またはBALFでのKL-6、SP-A, Dの測定、マウス体重の計測および生存率を測定する。
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