研究課題/領域番号 |
22K08772
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分55020:消化器外科学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
水島 恒和 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (00527707)
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研究分担者 |
関戸 悠紀 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00781709)
荻野 崇之 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師(常勤) (50597458)
吉原 輝一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (70850311)
長谷川 誠 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (10966534)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / 腸管上皮細胞 / RNA sequence解析 / 腸内細菌叢 |
研究開始時の研究の概要 |
これまで無菌動物モデルなどでは検討されていたものの,ヒトでの検討が困難であった腸内細菌叢が腸管上皮細胞に及ぼす影響について,一時的人工肛門造設術を受けた患者の手術検体を使用して検討する。 炎症性腸疾患患者と健常人の比較を行い,新規治療開発の可能性についても探索する。
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研究実績の概要 |
炎症性腸疾患(Inflammatory Bowel Diseases:IBD)は消化管に原因不明の炎症をおこす慢性疾患であり、腸内細菌叢に対する免疫応答の異常が、IBDの病因に重要な役割を果たしていることが明らかになってきている。腸管内では1層の腸管上皮細胞が腸内細菌叢と(腸管)免疫細胞を隔てており、バリアとして重要な役割を担っている。IBDの病因において腸管上皮が腸内細菌叢と(腸管)免疫細胞の関係にどの様な影響を及ぼしているかは、明らかではない。本研究では、一時的人工肛門造設状態という外科的に腸内細菌叢の影響がコントロールされた特殊な状態の手術検体を解析することにより、IBDにおける腸内細菌叢に対する腸管上皮の変化やバリア機能への影響を明らかにし、バリア機能制御による新規治療法開発の可能性を探索することを目的とした。 2年目は前年度に3例収集していたCD患者の腸管上皮細胞(CD45+EpCAM+細胞)のサンプル数を9例に増やし、CD患者9例+人工肛門機能腸管3例+空置腸管3例でNGS(Illumina HiSeq System)を用いてRNAsequence解析を実施した。同種サンプル間での遺伝子発現のばらつきが大きく、標的となりうる遺伝子(Pathway)を絞り込めなかったが、機能腸管と空置腸管の比較では脂肪酸代謝に関したPathwayに含まれる遺伝子で発現変化を認めた。サンプル数を増やしつつ、マウスモデルの解析のデータを参照し標的となる遺伝子を解析中であり、併せて腸管上皮細胞では遺伝子発現のばらつきが大きいことから獲得免疫を誘導するとされる腸間膜リンパ節においても関与する免疫細胞および細菌叢の変化を比較解析中である。また、腸内細菌以外の環境因子として胆汁酸が腸管上皮の遺伝子発現に対して与える影響を考慮し、機能腸管と空置腸管で発現に有意差を認める遺伝子を検索しCD患者の腸管上皮細胞での発現を解析する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度ではCD患者6例の腸管上皮細胞のRNA sequence解析のデータを追加で取得できた。また、機能腸管と空置腸管の比較では脂肪酸代謝に関したPathwayに含まれる遺伝子で発現変化を認め、サンプル数を増やしつつ、マウスモデルの解析のデータを参照し標的となる遺伝子を同定する予定である。また、平行して腸間膜リンパ節に存在する免疫細胞および細菌叢の変化および機能腸管と空置腸管で発現に有意差を認める胆汁酸関連遺伝子のCD患者の腸管上皮細胞での発現を解析中であり、概ね計画通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
採取した腸管上皮細胞のRNA sequence解析において今年度までにCD患者9例+人工肛門機能腸管3例+空置腸管3例のデータを取得でき、さらにRNA sequence解析にて機能腸管と空置腸管の比較で脂肪酸代謝に関したPathwayに含まれる遺伝子で発現変化を認めた。次年度にCD患者サンプルを12例まで増やしつつ、マウスモデルの解析のデータを参照し標的となる遺伝子を同定し、計画書にて予定している標的遺伝子(Pathway)と腸管上皮のバリア機能と関係についても解析する。また、平行して腸間膜リンパ節に存在する免疫細胞および細菌叢の変化および胆汁酸関連遺伝子のCD患者の腸管上皮細胞での発現に関しても解析を検討する。
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